【解説】相次ぐ水難事故 危険な海や川の“見分け方” 流されたら「○○泳ぎ」 安全な夏休みを過ごすために
■“浅く見える”川底に注意! “急な深み”で溺れる事故も多発
では川について、どのような危険が潜んでいるのでしょうか。日本水難救済会の遠山純司理事長に話を聞きました。 まず、光の屈折です。川の底がどこなのか、水中にある石を見た時に、光の屈折によって、実際の石の位置よりも“浅いところにある”ように見えてしまう現象があります。 さらに、川は地形が複雑で入ってすぐには足首くらいでも、少し進むと急に深くなるということがあります。 水深は浅く流れも緩やかに見える川に、専門家の立ち会いの下、実際にスタッフが入ってみました。川の中央付近の水深は足首ほどですが、その先で急に深くなり、流されてしまいました。 このときの水中を撮影した映像を見ると、川底に足が急につかなくなっていました。このような急な深みで溺れる事故は特に多いのです。
■砂利のアリ地獄 本流に引き込まれる「循環流」 川の危険ポイントとは?
川の危険の2つ目は、砂利です。岸に戻ろうとした時に、砂利の斜面が崩れてしまい、なかなかはい上がれない状況になってしまうことがあります。まるでアリ地獄のような状態です。
そして3つ目は、海の離岸流と似た「循環流」という現象です。 本流から枝分かれするように岸の方向に向かって流れ、下流から上流に流れたあと、再び本流と合流する、これが循環流です。 地形にもよりますが、非常に流れが速い場合があるそうで、本流の方向、つまり岸から離れた場所の流れに引き込まれてしまう恐れもあり、大変危険です。
■海や川で流されたら「○○泳ぎ」 波のある水面で浮力を確保する方法
では、実際に海や川で、流されてしまったらどうすればいいのでしょうか? 流された時は、基本的には「浮いて待つ」です。 ただ、気をつけたいのが浮き方です。「仰向けになって大の字で浮く」とよくいわれますが、これはプールなど波や流れがない静かな水面ではよいのですが、海や川で「浮いて待つ」と、顔に水がかかりパニックになり呼吸ができなくなり、浮き続けることは難しいといわれています。では、どうするといいのでしょうか。 海・川では「イカ泳ぎ」です。 手足を動かし、お腹を上にして、顔は水面に出します。手と足を引きあげて、温泉をかき混ぜるような要領で水をあおり、イカのようにゆっくり進む泳ぎ方です。こうすることで浮力を確保し、浮き続けることができるということです。