駅弁の定番「チキン弁当」が60歳 なぜ、世代を超えて愛され続けるのか
約150種類の駅弁の中で2位の人気
また、世代を超えて支持されているのも特徴だ。湯原さんは「年配層にとっては懐かしい味として、若年層にはレトロ感のあるパッケージが受けている」と説明する。駅弁屋 祭では、約150種類の駅弁の中で2位の人気を誇るという。 一方で、チキン弁当が今後もロングセラー商品として生き残っていくためには、「次の世代に購入してもらうことが最大の課題」と湯原さんは指摘する。 同社は、若年層を含む新たなファン層の開拓を目的として、定期的に企画商品の販売も実施している。池田さんは「定番品は変わらないことを守りつつ、企画商品を併売することで顧客の声を反映させている」と説明する。過去には、香辛料を使用したスパイシー唐揚げや、レトルトカレーメーカーとのコラボレーション商品などを期間や数量を限定して販売した。 通常のチキン弁当だけでなく、定期的に“変化球”商品を加えることで固定客を飽きさせず、かつ新規のファン層の開拓に取り組んでいる。 2024年7月には駅弁屋 祭のSNSアカウントを開設し、60周年を記念したキャンペーンを10月1日からスタートした。フォロワー数は半月ほどで9000を超え、1万に届きそうな勢いだ。 今回の周年でも企画商品を併売している。チキン弁当の記念バージョンとなる「チキン弁当デラックス」(1380円)だ。東京ステーションホテルの総料理長監修による同商品は、加熱式容器を採用し、より豪華な内容とした。同社によると、通常のチキン弁当と顧客を奪い合う懸念もあったが、相乗効果で両商品とも売り上げを伸ばしているという。
「冷凍駅弁」も開始
増加するインバウンド需要への対応も始まった。駅弁を日本の文化としてアピールするため、商品パッケージにQRコードを付け、読み込むと英語・中国語・韓国語でお品書き情報が閲覧できる仕組みだ。現段階では、新商品やチキン弁当デラックスなどの期間限定商品を主な対象としている。 また、9月には、冷凍技術を生かしてECサイト「冷凍駅弁 駅弁屋 祭」を立ち上げた。湯原さんは「駅弁の楽しさをより多くの人に知ってもらえるよう、このECサイトを盛り上げていきたい」と意気込む。チキン弁当も冷凍駅弁化しており、同ショップで販売している。 60年の歴史を持つチキン弁当は、伝統の味を守りつつ、期間限定メニューの展開や若年層・インバウンド客向けの施策など、新たな取り組みを続けている。旅のお供の名物弁当として、しばらくは人気が続きそうだ。 (カワブチカズキ)
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