難しすぎる日本女子OPは今は昔?初日はビッグスコアも 主催JGA山中氏の見方は?
「女子ゴルフ・日本女子オープン選手権・第2日」(27日、大利根CC=パー72) 大会史上最長の6845ヤード。コースレーティングは直近10年で最高の「80・6」。距離は長くて、100ミリ前後の深いラフも待ち受け、まさしくメジャー仕様と言える舞台が整っていた。選手たちは開幕前の練習ラウンドでは「距離が長い」「イーブン、なんとかアンダーパーで回れれば」と口をそろえて身構えていた。 だが、ふたを開けてみれば初日から古江彩佳が65と大爆発。2位の山下美夢有とアマチュアの新垣くららも4アンダーと好スコアで、アンダーパーは出場120人中の23人と、成績を見る限り激ムズなモンスターコースという印象はなかった。 メジャー大会といえば「我慢比べ」を想像するファンも少なくないだろう。選手たちも事前に警戒していたコースで、普段のトーナメントとまではいかないが、なぜ、これだけのバーディー合戦となるのか。3オープン(日本シニアOP、日本OP、日本女子OP)を主催するJGA(日本ゴルフ協会)の山中博史オープン事業本部長は「フェアウエーを捉える人が、きちんとスコアを出してきたかなっていうイメージですよね」と見解を語る。確かに上位は飛ばし屋というより、古江や山下など、ショットの精度の高さに定評がある選手が多かった。 長いコースをより長く感じさせる風も本番は吹かなかった。初日の公式発表では北風が風速1・4メートルと弱め。2日目は東北東の風が2・1メートルだった。「練習日は風も強かったし、練習日はティーを一番後ろにセットするんですよ。だからみんな難しいなっていう感覚が」と山中氏。加えて今年の記録的猛暑で、寒冷タイプのベントグリーンの状態管理にも苦労。グリーンキーパーの懸命なメンテナンスで仕上がりはしたが、大会期間の雨の影響で、想定よりも硬くて速いコンディションではなかった。 山中氏の予想では優勝スコアが「8から12の間になるんじゃないですかね」と言う。今年で57回目の開催を数える日本女子オープンのは10年ほど前まで、上位でもオーバーパーをたたくのが当たり前だった。傾向が変わってきたのは、畑岡奈紗が通算20アンダーで2度目の大会制覇を果たした2017年大会から。以降は勝みなみが優勝した22年大会以外で2桁アンダーが優勝スコアになっている。 今大会もハイスコアの優勝の気配が漂うが、もっとも山中氏は初日のスコアを受けて「もっと、どんどん出してもらいたいなと思っているくらい」と話す。続けて「要はスコアを出さないためのセッティングって、今はしてないんですよ。はっきり言って」と近年の方針転換について明かした。 選手のレベルが上がった今でも、セッティングの難度を上げることは可能だという。ただ、それは「誰が打っても入らないとか、寄らないようなところに(ピンを)置いたら、選手の技量って発揮できない。20アンダー出るコースを無理に10アンダー以下にすると変なセッティングになる」と真の実力を引き出すことはできない。 それでも、ラフに入れた時の難しさは変わらない。今回の長いコースはフェアウエーキープが鍵になるだけに「(クラブの)選択肢が狭まるというか、ティーショットで考えさせられる。そうやって選手に考えてもらって、やっぱり技術、飛距離のマネジメント、それにパッティングのフィーリングを考えてもらうセッティングを心がけている」と飛ばすだけでは勝てない総合的な技量が要求される。 今年もハイレベルな争いが続くが、このままでは終わらないかもしれない。「予選が終わってフィールドが小さくなりますから。土日は思い切ったセッティングもできますので」と不敵な笑みを浮かべる山中氏。今は昔の我慢比べも、週末は見られるかもしれない。 (デイリースポーツ・ゴルフ担当・中谷大志)