海外勤務を経験したあと、2ヵ国に財産を残し日本に帰国…相続人は日本、ドイツ、ベルギーからの課税があるのか?
日本における相続税
日本における相続税は、Bさんが無制限納税義務者、Cさんが非居住無制限納税者であり、Aさんからの相続財産に課税されます。 この場合、相続税の配偶者控除の適用等を考慮に入れないとすると、Bさんは国内の財産だけの相続であることから、国外財産へのドイツおよびベルギーの課税の影響はありません。 日本は、米国以外の国と相続税租税条約を締結していません。日本の相続税法第20条の2の規定では、財産の所在地国以外の国(本件ではベルギー)の法令により外国相続税が課税されたときの二重課税の調整についてまでその対象とするものではないと解されています。 したがって、ドイツ所在の財産に係る税額は日本で外国税額控除の対象となりますが、ベルギーの財産に課されたドイツの相続税は二重課税の調整の対象になりません。 矢内一好 国際課税研究所首席研究員
矢内 一好