【国内初】薬でアンチエイジングできる時代に!? “老化細胞を取り除く薬”の開発へ 順天堂大
順天堂大学などの研究グループは、老化細胞を薬で取り除く国内初の臨床研究の実施を学内の倫理委員会に申請しました。承認されれば2025年度にも患者への投与が始まる見通しです。この内容について山本医師に伺いました。 【イラスト解説】老化が進むと起こる“体の変化”
研究グループが申請した臨床研究とは?
編集部: 順天堂大学などの研究グループが学内の倫理委員会に申請した研究について教えてください。 山本先生: 今回紹介する臨床研究は順天堂大学らの研究グループによるもので、糖尿病の治療薬である「SGLT2阻害薬」を人に投与することで、老化細胞を取り除く効果が出るか確かめる目的でおこなわれます。すでに学内の倫理委員会に申請されており、承認されれば2025年度にも研究が開始されます。 65歳以上の糖尿病などの患者50人を対象に、SGLT2阻害薬を投与するグループと投与しないグループに分け、それぞれのグループごとに遺伝子の損傷状況や安全性などを調べて、加齢の抑制効果や運動機能、認知機能に差がみられるかを検証する計画を立てています。研究グループは今回の研究に先立って、太らせたマウスにSGLT2阻害薬を投与する実験を実施しています。研究成果は学術誌「Nature Aging」に掲載されており、免疫によって老化細胞の除去が進んだという結果が確認されています。マウスの内臓脂肪にたまった老化細胞が減少し、動脈硬化などの状態に改善がみられたほか、早老症マウスの寿命も延びていたとのことです。
今回のニュースへの受け止めは?
編集部: 順天堂大学などの研究グループが学内の倫理委員会に申請した研究についての受け止めを教えてください。 山本先生: 倫理審査委員会の承認後に実施予定の「人を対象にして有効性や安全性を確かめる臨床試験」は、一般に3~7年と長い年数がかかります。加齢により慢性炎症が誘発されることで、様々な加齢関連疾患の発症や進行につながることも少しずつ明らかになっている段階なので、今回の試験を通じて得られたエビデンスが、しっかりと臨床現場に還元されることを期待したいと思います。