イスラエルによる「レバノン空爆」現地カメラマンが撮った″地獄の光景″
破壊力は広島に落とされた原爆級
レバノンの首都・ベイルート南部ダヒエの中心地にあったビルは跡形もなく消え去り、地中深くまで続く巨大なクレーターのような穴が開いていた――。 【画像】美しい街並みガレキの山と化し…「レバノン空爆」戦慄の現地写真 中東地域の緊張が高まるなか、イスラエルによるレバノン空爆の被害が拡大している。パレスチナの武装組織『ハマス』とイスラエルの戦闘が始まったのが昨年10月。イスラエルはガザ地区、ヨルダン川西岸地域で大規模作戦を展開し、今年9月下旬からは隣国レバノンの空爆にも踏み切った。イスラエルがレバノンを攻撃するのは’06年以来だ。 「『ハマス』と連帯しイスラエルを攻撃したレバノンのイスラム組織『ヒズボラ』を標的に、大規模な空爆を開始したのです。現在まで市民の犠牲者は2300人以上。『ヒズボラ』最高指導者ハッサン・ナスララ師を始め、幹部や戦闘員も殺害されました」(大手メディア駐在記者) 冒頭で紹介した、地面に大穴が開いたナスララ師殺害現場を撮影した現地カメラマン、ラムジー・マンスール氏が語る。 「ビルの地下8階オフィスに潜(ひそ)んでいたところを狙われました。使われたのは80発に上る米国製の地中貫通型爆弾『バンカーバスター』です。破壊力は広島に落とされた原爆級と伝えられています。ビルは一瞬にして吹き飛び、ナスララ師はなす術もなく窒息死したようです」 『バンカーバスター』以外にも、破壊力の高い武器が多く使われている。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が語る。 「2000ポンド級爆弾『MK-84』など、イスラエルの使う武器の約7割は米国製です。加えて米国の衛星映像や西側の諜報機関が集めた精度の高い情報が共有されている。イスラエルは、軍事と情報の両面で圧倒的に優位な立場にあります」 懸念されるのが、『ハマス』や『ヒズボラ』の後ろ盾になっているイランの介入だ。10月にイランはイスラエルへミサイルを発射。その約3週間後、イスラエルも反撃に踏み切った。山田氏が指摘する。 「両国が戦争状態になれば、イランが核兵器の製造に踏み切る危険があります。ポイントとなるのが11月5日に行われる米大統領選です。軍事介入を嫌うトランプ氏が大統領に就任すれば、イスラエルの紛争を停戦合意に導く可能性はありますが、バイデン大統領の路線を継承するハリス氏だと期待はできません」 中東の″地獄の光景″は広がる一方だ。 『FRIDAY』2024年11月15日号より 取材・文:形山昌由(ジャーナリスト)
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