風呂キャンセル界隈?「日本の偉人」まさかの素顔。凄い人物でも部屋が汚い、そんな姿に親近感も
ひたすら「よい絵を描きたい」とだけ願った北斎は、生活のあらゆる雑事に無頓着だったため、とにかく部屋が汚かったという。もう住めないほど汚くなれば、家ごと引っ越しをしたというから豪快である。生涯にわたって、北斎は実に93回も転居している。 北斎は二度ほど結婚したが、家庭生活がうまくいかなかったことは言うまでもない。そんななか、3女の葛飾応為とは相性がよかったようだ。応為もまた浮世絵師として活躍し、夫と離婚後は、北斎と同居。親子で共同制作も行いながら、晩年の北斎を支えた。
ただ、北斎と気が合うだけあって、娘の応為もまた細かいことにこだわらない豪快な性格だった。そして、やはり掃除は苦手だったようだ。 葛飾北斎の門人・露木為一は『北斎仮宅之の図』で2人の生活を描写。荒れ果てた室内のなかで、ひたすら絵に没頭する北斎と応為の姿が描かれている。 ある意味、最強の親子タッグだ。「芸術第一」の揺るぎない生活スタイルを築いていた。 偉人なのにダメ人間じゃなくて、ダメ人間だったから偉人になれたのかもしれない――。彼ら彼女らの常識はずれな言動を観ていると、そんな気さえしてくる。
歴史人物の意外な一面にこそ、その人物の本質があり、また偉業を成し遂げる重要なファクターになっていたりもする。 ■偉人の素顔に勇気づけられることも 今回の記事では「〇〇が汚い」でのランキングを発表したが、新著『ひょんな偉人ランキング』では、「忘れ物がヤバい」「疑り深いネクラ」「すぐ炎上しそう」など多岐にわたる項目で、ランク付けを行っている。 本書を通じて、偉人の素顔に触れることで、勇気づけられることもあることだろう。そして、自分の得意なことや好きなことをやる大切さも実感できるはず。先行きが見えにくい今の時代にこそ、ぜひ読んでみてほしい。
真山 知幸 :著述家