長崎県でショートケーキより売れる謎のケーキ「シースクリーム」とは?
●長崎県民が絶賛する長崎だけに存在する「シースクリーム」とは? 取り寄せて調査してみた。
おいしいモノは食べたいものの、これだけ寒いと外食するのも億劫。絶品と話題の店でも並ぶのがツライ季節です。こんな日は無理に出かけず、暖かい家で、日本各地のお取り寄せグルメを楽しむのはいかがでしょう。 『梅月堂』が作った食文化「シースクリーム」の関連画像 先日、良いお取り寄せグルメがないか聞いて回ったところ、長崎出身の知人に「シースクリーム」という食べ物を強く勧められました。初めて聞いた食べ物ですが、長崎では知らない人がいない、小さな子どももお年寄りもみんなが大好きなソウルフードなんだとか。気になったのでお取り寄せしてみました。
明治24年創業の老舗菓子店『梅月堂』が作った食文化「「シースクリーム」
こちらがその「シースクリーム」。謎の食べ物の正体はケーキでした。作ったのは長崎市に本店を構える創業130年の老舗『梅月堂』。昭和30年、保存環境や原価の問題でまだバタークリームやカスタードクリームが主流の時代に、長崎で初めて生クリームを使って作られたのが「シースクリーム」なのだそうです。 それから様々なお店が似たようなケーキ「シースケーキ」や「シース」を発売し、長崎県ではいちごのショートケーキより売れている、長崎独自のスイーツとなったのだとか。 『梅月堂』の「シースクリーム」はきめ細かく、口の中でスーッと溶けていくスポンジとふんわりコクがある優しいカスタードクリーム、軽やかな生クリームが特徴です。上部には大きな黄桃とパイナップルが飾られています。
一口食べた瞬間に、言いようのない懐かしさで胸がいっぱいになりました。幼い頃、たまにしか会わない祖母がデパートの喫茶店で食べさせてくれたあの、シンプルだけど上等なケーキの味。口の中で徐々に濃厚になっていくクリーム、軽くてふわふわのスポンジ、シロップ漬けのフルーツ……。子どもの頃、特別な日にだけ食べることを許された贅沢なケーキとの突然の再会に、思わず目を閉じて思い出に浸ります。 長い歴史の中で、多くの人に愛され支持されながら変わらず残ってきた老舗だからこその味。どんなに話題の新店も、SNSでバズった人気店も決して足を踏み入れることができない領域です。おいしさだけじゃない、食べる人をめいっぱい幸せにしてくれる昭和レトロな味わいのスイーツでした。