日本ハム・奈良間大己 勝利の儀式に欠かせぬ主役/ドラフト下位選手の今
奈良間大己の元気な叫び声がチームの凱歌だった。「お~つかれさまで~~す!」。エスコンフィールドで恒例となった、勝利後の一丁締め。主に音頭を取ったのが2023年ドラフト5位で入団した背番号58だった。一塁ベース付近で選手、首脳陣らが円陣を組むど真ん中でマイクを持ち、テンション高く勝利に酔いしれるファンの「お手を拝借」し続けた。 【選手データ】奈良間大己 プロフィール・通算成績 欠かせない勝利の儀式の主役になれたのも、ほぼシーズンを通して一軍戦力であり続けたからだ。開幕直前まで二軍調整だったが、これは新庄剛志監督が「奈良間君はちょっと気合が入ってなかったので、1回わざと(二軍に)落とした」というハッパ策。二軍戦で左投手相手に、いい打撃内容を見せているのも確認して初の開幕一軍に滑り込んだ。 3月29日のロッテとの開幕戦では八番・二塁で初の開幕スタメンにも抜てきされた。23年に小島和哉からプロ初本塁打を放っていたこともあり、新庄監督は「小島君に合わせて(一軍に)連れ戻そうと心は決まっていた」。その期待に応えるように開幕戦では3打数1安打2得点で開幕白星に貢献。5月に1度抹消されたが、二軍調整はその1度だけだった。 試合後だけではなく、試合前練習から元気にグラウンド駆け回り、試合中も大きな声で仲間を鼓舞する姿は満点の働きだった。今季は昨季を上回る90試合に出場。ただ、スタメン出場は34試合で昨季の52試合を下回っただけに伸びしろはまだまだある。来季はムードメーカーにとどまらない主力級の大活躍で、もっとファンの「お手を拝借」したい。 写真=BBM
週刊ベースボール