【漫画家に聞く】真面目すぎる軍人とちょっぴりドジな美少女……漫画「お兄ちゃんの部下と1週間暮らす羽目になった話」に感動
軍人の兄を持つエマのもとに、兄の部下・ウィルフリードがやってくる。兄の命を受け、1週間エマと一緒に過ごすことになったという。感情表現が乏しく、何を考えているのかがイマイチわからないウィルフリードとの共同生活に困惑するエマ。対照的な2人は仲を深めることはできるのだろうか――。 軍人と少女のやりとりが微笑ましくもあたたかい漫画『ウィルフリードに休息を』 「好きなもの」を描きたいというシンプルな願望から、人の心を揺さぶる作品が生まれることがある。8月上旬、Xに投稿された『ウィルフリードに休息を』(お兄ちゃんの部下と1週間暮らす羽目になった話)はまさに作者・小形朱嶺さん(@akamine8787)の「軍服を描きたい」という思いから生まれた作品で、細部から大きな物語が広がっているのが面白く、感動的だ。 8月27日より『サンデーうぇぶり』(小学館)で『若葉さんちの青い恋』を連載中の小形さんに、こだわりのポイントなど話を聞いた。(望月悠木) ■「好きだけど描いたことがない軍服を描きたい」 ――『ウィルフリードに休息を』の制作を決めた時について教えてください。 小形:当時は何を描いたら良いのかわからず、行き詰っていた時期でした。「自分は何が得意なのか?」ということを見つけるため、「今までやったことのないことに挑戦してみよう」と考え、そこで「好きだけど描いたことがない軍服を描きたい」というところから本作を描くことを決めました。 ――なぜ兄の部下と女の子が1週間暮らす物語になったのですか? 小形:まず“可愛い女の子”と“軍人男性”はマストで描きたかったです。そして、「その2人自然に動かせるのはどんな状況だろう」と考えた結果、この設定にしました。 ――描きたくてたまらなかった軍服ですが、ウィルフリードの軍服を描くうえで参考にした資料などはありますか? 小形:軍服が好きになったキッカケが『ヘタリア』(幻冬舎)だったので、同作を参考にしました。また、戦争映画もたくさん見ました。 ――ドジなエマを見て心的外傷ストレスの可能性を疑ったりなど、ウィルフリードの思考回路が面白かったです。 小形:「エマの兄に心酔している」「戦場で生きてきた彼なら今の状況をどう捉えるだろう」ということを意識しながら、ウィルフリードの思考回路やセリフを考えていました。 ――対照的な2人の表情が印象的でしたが、2人の表情を描くうえで意識したことは? 小形:エマは感情がそのまま顔に出るように、一方ウィルフリードは無表情だけどその中でもバリエーションが出るように意識しました。 ――表情で言いますと、終盤の徐々にエマの表情が変わるカットが素敵でした。 小形:このシーンはウィルフリード視点で、「彼がエマの表情の変化をじっくり見つめている」ということを表現したくて描きました。あと個人的に女の子の涙がゆっくりこぼれていく様子が好きなので! ――最後に今後の目標などあれば教えてください。 小形:現在連載中の『若葉さんちの青い恋』を多くの人に読んでもらえるように頑張ります!
望月悠木