秋ドラマで最も株を上げた女優は? 最高の演技で魅せる宝石(5)リアルな芝居が素晴らしい…大化けした役者は?
2024年の秋ドラマも豊作だ。趣向を凝らした物語もさることながら、実力派俳優たちによる演技合戦も熱い。中でも若手女優の活躍は目覚ましく、世間にインパクトを残した。そこで今回は、今季のドラマで最も株を上げた女優を5人ピックアップして、その魅力を解説する。第5回。(文・平良真咲)
山崎紘菜『私たちが恋する理由』(テレビ朝日)
同名人気コミックの映像化作品である『私たちが恋する理由』は、オフィスを舞台に男女6人の恋模様を描く。そのなかで、デザイン部に所属する市川絢香を演じているのが山崎紘菜だ。 営業部の年下男子・坂元(七五三掛龍也)と惹かれ合い、次第に距離を縮めていくものの、年齢差があることや坂元に同年代の彼女がいると勘違いしたことで、絢香は坂元を避けるように。自分を必死に納得させようとしながら、あくまでも坂元に対してはドライに、ビジネスの関係に戻ろうとする健気さがいじらしい。 紆余曲折ありながらも誤解がとけた2人はしこたま酒を飲み、最終的に絢香は自分のカッコ悪さを一つずつ口にしながら子どものように泣いた。坂元は、それを真剣な表情で受け止める。 3組のカップルが登場する本作で、バリキャリの先輩とかわいらしい後輩というもっともマンガっぽいようでそう感じさせないのは、山﨑と七五三掛という組み合わせの妙だろうか。 30代、責任も相応に重くなってきている働く女性の等身大の叫びを涙ながらに羅列する山崎のリアルな芝居に胸を打たれた。お仕事ドラマのヒロインを務める彼女を観たい。 (文・平良真咲)
平良真咲