GRヤリス こんなに大進化させる改良なんてある? MT派だけど8速AT登場を歓迎!
サーキットで8速ATを試す
レシオがクロースした8速の変速段を持つGR-DAT仕様には、まずサーキットで試乗した。この仕様にはローンチスタートのモードがあり、ドライブモードセレクトでSPORTを選択し、VSC(横滑り防止機能)をエキスパートもしくはオフにし、ブレーキを踏んだまま左右のパドルを1秒引くと「Launch Ready」になり──という手順を踏むと機能するのだが、試乗時間が限られていたこともあり(筆者に余裕がなかった)、試していない。手順どおり機能させれば、MT車と遜色ない、あるいはMT車を凌駕する発進加速を披露するポテンシャルを秘めている。 GR-DATは過酷なスポーツ走行に耐えられるよう、変速機構に用いる遊星歯車の固定に使うクラッチ/ブレーキに高耐熱湿式摩擦材を採用しているし、世界トップレベルの変速スピードを実現するために高応答タイプのリニアソレノイドバルブを採用している。冷却性を確保するため、水冷ATFクーラーを採用してもいる。耐久性については競技やテストでさんざん確認しているはずで、心置きなくサーキット走行に臨むことができる。 「ドライバーの意思を汲み取るギヤ選択を実現」とのことだが、クルマが持つ性能を存分に引き出せるプロドライバーならともかく、マージンを残しておっかなびっくり運転するドライバー(つまり筆者)にとっては、高いギヤ段を保ったままコーナーに進入し、「進入時にシフトダウンしてほしかったんだけど」と感じるシーンが散発した。強い減速Gを発生させてコーナーに進入したほうが、意思を汲み取ったギヤ選択をしてくれる率が高かった。 意思どおりの変速を優先するなら、シフトレバーを右側に倒してMモードを選択すればいい。レバーの位置は現行GRヤリスのCVT搭載モデルよりも75mm上昇させ、MTモデルのシフトレバーと同等にしている。結果、左手を自然に降ろした位置にレバーがあり、操作性は抜群だ。モータースポーツでの学びを生かし、押し操作でシフトダウン、引き操作でシフトアップする操作へと従来から反転。減速Gがかかるときに押し、加速Gがかかるときに引くことになり、体の動きとレバー操作の動きが一致するため無理がない。 ドライブモードセレクトでSPORTを選択すると、GR-DATの変速フィールはレスポンス重視になる。シフトレバー/パドル操作に対する変速時間は従来8速ATの半分程度だし、スピードを意識したスポーツカーのATの4分の3程度、スポーツカー向けDCTと同程度で、すなわち速い。 意思どおりのレスポンスで変速してくれるし、意図して変速時のショックを発生させ、メーターで確認せずとも体感で「変速した」ことを認識することができる。MT車だと変速操作に気を取られ(そこが醍醐味でもあるのだが)、ブレーキングポイントやライン取りがおろそかになりがち。GR-DAT車の場合は変速操作から解放されるので、ブレーキングポイントやライン取りに意識を集中できる。
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