「静かに逝く人たち」…孤独死・孤立死の現場を取材 1人でなくなった高齢者は半年で約3万人 福島
誰にも看取られず、亡くなったことさえ周囲の人たちから気付かれず、静かにこの世を去っていく人たちがいます。複雑な事情を抱えながら、人生を生き抜いた人たちの“最後の砦”になろうと「孤立死」などの葬儀を営む夫婦がいます。2人は必ずこう言葉をかけます。「お疲れさまでした」。 「独りで逝くっていうのは悲しいこと」…孤立死や身寄りのない遺体の葬儀を営む夫婦の思い
時々、料理を一緒にするようになったという夫婦。 ■石原さん夫婦 「いただきます」「ちゃんと座って」「はい!いただきまーす」 およそ30年前に結婚した、石原充さんときみ子さん。3人の子どもたちを育て上げました。子どもたちはそれぞれ家庭を持ち、今は東京で暮らしています。子育てが一段落した10年ほど前、夫婦は新しい会社を立ち上げました。2人だけで営む小さな葬儀店です。当時わずかな資金しかありませんでしたが、2人の背中を押したある出来事がありました。
■石原きみ子さん 「死体遺棄のニュースが流れた。奥さんが亡くなって旦那さんが葬儀をするお金がないので自分の家の庭先に奥さんの遺体を埋めた。本当は葬儀ってそんなにお金をかけなくても出来るもんじゃないのかなっていう風に思って」 元々、大きなホールのある大手の葬儀会社で働いていた2人。出来るだけお金をかけないようにと、葬儀で使う道具は、充さんが手作りしました。一般的な葬儀は、数百万円かかりますが、石原さん夫婦は、火葬だけの最低限の葬儀。自治体からの給付などを合わせるとなんと5万円ほどに。すると、予想もしなかったことが…。 ■石原きみ子さん 「福祉の方、生活保護の人。こちらがお金をあまりかけないでやりたい方とか」 依頼が増えていったのが生活保護を受ける人など家族や親戚との繋がりがなくなった身寄りのない人たちの葬儀でした。その依頼は、市役所や警察などから。年間で100人を超えています。
引き取り手がなく、送り出すのは石原さん夫婦。そして、火葬場の職員の人たち。 ■石原きみ子さん 「やっぱりいろんな生き方があったにしても最期はみんな同じですから。だから本当にお疲れさまっていうか大変だったねっていう気持ちは出てきますよね。どんな人に対してもね」 夫婦が必ず最期にかける言葉があります。 ■石原充さん 「炉の前でお疲れさまって言ってあげないと故人様は浮かばれないよね」 ■石原きみ子さん 「本当に一人で逝くっていうのはやっぱり悲しいことだよね。どんな事情があったにせよ。だから最期にはいるよって」