60代でマンション全面改修を決意。シニア1人が美しく快適に暮らす部屋のための建築家ならではの秘策とは
Point. 1 “白”を際立たせるモールディング(装飾材)
空間と空間の間のつなぎ役として設けられたモールディングは次へと続く景色を縁取り、強調するツール。マットで温かみのある白は、グレーと濃紺で構成された空間のアクセントカラーに。広範囲の平面に使われることが多い白は、空間によっては効果的な差し色にもなることを教えてくれています。
Point. 2 キッチンのタイルは“目地なし”で
キッチンの壁面には、白の釉薬にニュアンスがあるタイルをセレクト。平田タイルの製品。一般に、キッチンのタイル目地は汚れが目立たないよう暗色が使われることが多いですが、ここでは白だけの静謐さを大事にして目地なしに。掃除も楽になったそうです。ハーマン社のシンプルなコンロとも調和しています。
Point. 3 框(かまち)がエレガントな造作のキッチン扉
枠を組んだ造作が施された木製の框扉が、キッチンをエレガントに演出。空間のアクセントにモールディングを採用しているA邸のデザインテーマが、ここにも現れています。カウンタートップはグレーの人造石を採用。温かな木にクールな石を合わせることで素材感のバランスがニュートラルに。
Point. 4 シルバーの丸い取っ手で統一感を出す
ベッドルームに設けたクローゼットの折り戸には、シルバーの丸い取っ手が整然と並んでいます。タカトク金物の取っ手は、グレー色の扉とも似合い、小さくころんとしたデザインは悪目立ちしません。広くはない範囲に数多く設置されるものだからこそ、周囲との調和を重視してセレクトしましょう。
Point. 5 キュートな輸入壁紙をポイント使い
イギリス製のファロー&ボールの壁紙を採用。鳥をモチーフにした絵柄がキュート。シックなA邸の世界観から一転、ゲスト用トイレはフェミニンにまとめられています。閉じられた空間だからこそ、こうした冒険も。水栓金具はクラシカルなフォルムをセレクトし、世界観を統一しています。
Point. 6 カーテンボックスと間接照明を一体化
既製のコンクリート梁の目隠しとして設けたカーテンボックス。その上部には、間接照明を収めて一体化させています。美観と機能を両立させたデザイン。光だけが漏れ、壁や天井を照らす様子に心癒されます。「均質な照明は豊かではない」という浅利さんは、間接照明と置き照明だけで照明計画を立てました。