シリアのアサド前大統領、失脚前にトルコへの不満をイランに漏らす
[ドバイ 14日 ロイター] - シリアのアサド前大統領が失脚前に、トルコが反体制派のイスラム教スンニ派を積極的に支援しているとイランのアラグチ外相に不満を漏らしていたことが分かった。イラン当局者2人がロイターに語った。 50年余り続いたアサド一族による支配は、アサド氏が8日にロシアに亡命したことで終わりを告げた。シリアの長い内戦でイランはアサド氏を支援し、アサド政権の崩壊は中東でのイスラエルと米国の影響力に対抗するイラン主導の「抵抗の枢軸」への大きな打撃になるとの見方が広がった。 国際武装組織アルカイダの流れをくむ反体制派「シャーム解放機構」(HTS)がシリアの主要都市を占領し、首都ダマスカスに向かって前進していた今月2日、アサド氏はダマスカスでアラグチ氏と会談。イラン当局者によると、アサド氏はトルコが自身を失脚させようとする動きを強めていることに怒りをあらわにした。アラグチ氏はイランが支援を続けるとともに、トルコに憂慮を伝えると約束した。 アラグチ氏は3日、トルコのフィダン外相と会談し、トルコがシリアの反体制派を支援していることに対する深い懸念を表明した。1人のイラン当局者は「会談は緊迫したものだった。イランは、トルコが米国とイスラエルの基本方針に同調していることに不満を表明し、アサド氏の懸念を伝えた」と説明した。 これに対し、フィダン氏はアサド氏が真の和平交渉に参加せず、長年にわたる圧政が対立の根本原因だと非難したという。会談に詳しいトルコ外務省筋は、それらはフィダン氏の正確な発言ではなく、アラグチ氏はアサド氏からのメッセージをトルコに伝えることなどはしていないと語った。