消えゆく「2階建て新幹線」その廃止の理由とは
バリアフリー化など難しく車内販売など大変
2階建て車両が消える理由のもうひとつが、サービス向上だ。その構造上、どうしても階段が必要な2階建て車両はバリアフリー化が難しく、また車内販売なども大変である。 また、自由席車両の2階席は定員確保のため、1列あたり3+3の6席となっていて、真ん中のひじ掛けも省略されるなど、“質より量”といった点があちこちに見られる。 JR東日本は、北陸新幹線で活躍するE7系を2018年度以降に上越新幹線へ投入し、E4系を置き換え。全席にコンセントを設置し、グランクラスもあるE7系で、さらなるサービス向上を目指すとしている。
2階建て車両が消えることで残念なのは、その眺めの良さが味わえなくなることだ。多くの区間で防音壁が続き、景色があまり見えない新幹線において、2階席から眺める車窓は貴重な楽しみだったという人も多いことだろう。 JR東日本では各路線に観光車両の導入を進めており、新幹線でも「とれいゆつばさ」や「現美新幹線」などが登場している。E4系も、その2階建て構造を活かして観光車両へとリニューアルしてもらいたいと願う。 (文/伊原薫/鉄道ライター) ■伊原薫(いはら・かおる)大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。