混迷の衆院選「保守」と「リベラル」をキーワードに各党の政策を読み解く
争点ごとの各党の立ち位置
個別の争点に関していえば、今回の衆院選では消費増税、憲法改正、原発が主要な争点となっている。消費増税については、自民党と公明党が2019年10月の税率10%への引き上げを予定どおり実施した上で増収分の使途を変更するとしており、希望の党、立憲民主党、日本維新の会、共産党、社民党はみな引き上げに反対する立場である。憲法改正については、自民、公明、希望、維新が(程度の差はあるものの)推進する立場で、立憲民主、共産、社民は消極的である。原発については、自民党が再稼働を進める立場である一方、希望の党が「2030年までに原発ゼロ」の目標を設定するとしていることを始めとして、公明、維新、立憲民主、共産、社民は原発からの脱却を目指す立場である。 以上のようにさまざまな争点が錯綜しており、有権者にはわかりにくい選挙かもしれないが、皆さんには是非とも、各党の成り立ち、目指す社会像・国家像、立ち位置などを踏まえ、主張をしっかりと読み解いた上で一票を投じていただければと思う。
-------------------------- ■内山融(うちやま・ゆう) 東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は日本政治・比較政治。著書に、『小泉政権』(中公新書)、『現代日本の国家と市場』(東京大学出版会)など