【大規模土砂崩れから4カ月】寸断続く山間部の村 現場はいまどうなっているのか 奈良・国道169号
「初めて通常の営業ができるはずだったのに・・・」
温泉とホテルを併設する「フォレスト・かみきた」。新型コロナの感染が拡大していた2020年の6月にオープンし、今年6月に4周年を迎えます。土砂崩れは、ようやく通常の営業ができると期待していた矢先に起きました。
「今年は初めて通常の営業ができるはずだったのに・・・」と悔しさを滲ませる支配人の福本聡さん。GW中は、大台ヶ原や熊野古道など、通行止めの区間を通らずに行ける場所へ向かう客が訪れ、そこまで影響が出なかったといいます。福本さんが心配しているのは連休明けです。
GW明けから奈良県が本格的な支援策
連休明けから観光客が少なくなることを念頭に、奈良県は通行止めの影響を受けている上北山村・下北山村・そして川上村への旅行を支援するキャンペーンを5月下旬から試験的に始める予定です。3つの村にある宿泊施設に泊まった場合に料金の一部を県が補助し、さらに宿泊した人には村内の飲食店やスーパーなどで利用できるクーポン券を配布します。 さらに下北山村・上北山村にある宿泊施設には、すでに実施されている光熱費などの支援を増額します(申請受付5月7日~6月14日)。 他にも、時期は未定ですが、迂回を余儀なくされている下北山村と上北山村の事業者に、2~4万円(軽自動車・乗用車・普通貨物自動車車種別に定額)の補助が実施されることになっています。 山下真・奈良県知事は会見で、「6月下旬から観光シーズンになる。(GWは)だいぶダメージを受けると思うので、その分を夏場に取り戻していただきたい」と話しました。
下北山村周辺では過去にも国道169号に加え、隣の168号や両道路をつなぐ425号などで、たびたび土砂崩れが発生しています。今回土砂崩れが起きた地点前後数キロも、点検の結果、土砂崩れの対策が必要だと指摘されていた区間で、あたり一帯の斜面の補修やトンネルを開通する計画が進んでいます。 全国の至るところで土砂崩れが相次いでいます。これから夏にかけては豪雨で地盤が緩み、さらに土砂崩れの危険が大きくなる時期。住民の生活に欠かせない道が塞がれる影響は甚大です。予算や人手が限られる中でも、抜本的な対策が求められています。