【大規模土砂崩れから4カ月】寸断続く山間部の村 現場はいまどうなっているのか 奈良・国道169号
「ちょっと寂しいね。これだけの状態だと。もっと入ってもらわんとね」
観光客に加え、施設にあるサッカー場やテニスコートを利用する小中学生のスポーツ合宿が激減しているといいます。
施設では少しでも訪れる人を増やそうと、2月から温泉の入浴料を大人は700円→300円に、子どもは400円→200円に割り引くキャンペーンをしています。 (下北山村スポーツ公園支配人・勝平芳明さん) 「来ていただいたら満足できるようにサービスをしていきたいと思っているところです。たくさんの人に来てもらって村も元気を出していかないと、通行止めだからしょうがないというわけにはいきませんので、なんとか頑張って経営していかないとと思っているところです。いまの状態が1年以上続くと施設の閉鎖も考えないといけなくなる」
通行止めの影響は観光施設だけではありません。 奈良の市街地がある北部に向かう主要な道路が寸断されたため、住民も車で1時間以上は余計に時間がかかる迂回路を行くことになり、通院や通勤で行き来する人にとって少なくない負担になっています。
土砂崩れの北側 上北山村は
一方、土砂崩れが起きた現場の北側にある上北山村。 下北山村と違い北部と行き来できるため、大きな影響はないはずでした。しかし今年の4月に同じ169号の西原という別の地区で土砂崩れが発生。幸い巻き込まれた人はいなかったものの、主要道が南北ともに一時塞がれてしまって物流が滞り、コンビニが一時休業するなどの影響が出たといいます。 4月に起きた土砂崩れの現場は復旧が進み現在は片側通行で通れるようになっているものの、春の観光シーズンを直撃。最も影響が出ているのがサービス業です。
国道169号沿いで奈良県の名物”柿の葉寿司”を製造・販売する「ゐざさ寿司」。奈良市内にもいくつか支店があり、本店を上北山村に構えています。 本店で40年勤務するという大上麿里子さんに話を聞くと、毎年4~5月は隣の下北山村へ向かう花見客や、ツーリング客、そして釣り客ら多くの人が行き交い、忙しい時期だといいます。しかし道が通行止めになってからは一気に売り上げが落ち、例年の2割ほどにまで落ち込んでいるといいます。 (ゐざさ寿司・大上麿里子さん) 「4月には迂回路を使って隣の下北山まで売りに出かけたこともありました。17年前にも西原(村内の地区名)で大きな土砂崩れがありましたが、何カ月も影響が続くのは始めてです」 169号沿いの飲食店で経営する夫婦に聞くと、通行止めで2割ほど売り上げが落ちたものの、道路の復旧工事に携わる人たちが利用することでいまは何とか持ちこたえているといいます。夫婦は「これからの影響が心配。ちゃんとした道を整備してほしい」と不安を口にしました。