父が奨学金「500万円」を一括返済してくれた! 教育費なのに「贈与税」がかかるのはなぜ? 対策と理由を解説
相続があった、退職金が入ったなどのタイミングで、子どもの奨学金を肩代わりする人もいるのではないでしょうか。ただ、「これで一安心」ではないかもしれません。奨学金の肩代わりが贈与税の対象になることを知っていますか? 本記事では、子どもの学費を支払っただけなのに、なぜ贈与税がかかるのか解説します。
奨学金返済の肩代わりは贈与税の対象になる
親が子どもの奨学金を一括返済する行為は贈与に該当し、贈与税の対象になります。「子どもにお金をあげたわけではない」と思うかもしれませんが、子どもが返さなければならない奨学金を親が払ってあげる行為は、子どもにお金をあげたのと同様なのです。 例えば、父親が奨学金500万円の返済を肩代わりした場合、家族内の贈与となるため特例贈与財産に当たります。子どもにかかる贈与税は以下のとおりです。 (500万円-110万円)×15%-10万円=48万5000円 せっかく500万円の奨学金の返済をなくしてあげたにもかかわらず、約50万円の贈与税がかかるのであれば、奨学金が約50万円増えたように感じられるかもしれませんね。
教育費は非課税なのになぜ?
贈与の中には贈与税がかからない財産があり、その中の1つに「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」があります。つまり、子どもに必要な教育費は親が当然に負担すべきお金であるため、親が出してあげても贈与税はかからないとなっているのです。 では、奨学金とは教育費の借り入れなので、親が一括返済しても贈与税はかからないのではないでしょうか。 実は前記の規定には続きがあり、「なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます」と記載されています。 例えば、学校から学費の請求が来た際に支払った金額は非課税ということですね。よって奨学金はこれに該当しないことから、「贈与税がかからない財産」には当てはまらないことになります。