揺れる学生ゴルフ(上) 関東学連に日本学連が試合の出場枠の大幅削減案を通達 JGAも憂慮
近年のゴルフ界は松山英樹、金谷拓実、中島啓太、蝉川泰果のように大学に籍を置いたままプロトーナメントで優勝する学生ゴルファーの快挙が相次ぐ。学生層のレベルアップを象徴する出来事だが、その中心的な組織である関東学生ゴルフ連盟(関東学連)が揺れている。 あす12月1日に関東学連は学生総会を開き、北口博会長代行の会長信任の可否を採決する。ただ、その結果次第では、一波乱ありそうな雲行きだ。 事の発端は、日本学生ゴルフ連盟(日本学連)が9月に関東学連に対し、厳しい内容の通達文を出したことにある。そこには「関東学生ゴルフ連盟は24年10月14日までに日本ゴルフ協会(JGA)=正しくはスポーツ庁=のガバナンスコードにのっとった方法で理事を選任すること。期日までに選任ができなかった場合、来年度の試合(※別記)において関東の人数枠を男女ともに15人前後削る。削った人数を関東以外の地区(北海道、中部、関西、中・四国、九州)に分配する」と書かれていた。 (※日本学生(24年51人→25年36人、日本女子学生24年25人→25年10人、文部科学大臣杯争奪日本学生王座→24年40人→25人、文部科学大臣杯争奪日本女子学生王座24年19人→25年9人) 関東学連に加盟する慶大、早大、明大、法大や東北福祉大、日大など54大学にとっては、学生の大きな目標である日本学生、日本女子などへの出場枠を大量に削られることは、由々しき事態だ。 関係者は「この措置はA、B、Cの上位ブロックの大学よりもD、E、Fの大学の方に影響がある。上位の大学の選手は実力があるから枠が減っても安定して上にいるのであまり影響を受けない。でも、下部の大学にも1人、2人ポンと強い選手が出てくることがある。そういう選手の出場のチャンスが減ってしまう」と危惧する。 もっとも、日本学連が今回、そうした“強権”を発動した裏には、それなりの“言い分”があった。 実は関東学連の現在の体制は一年半近く“暫定政権”が続いている。 23年3月11日に関東学連は次の会長の議案を含んだ通常総会を開催。当時の黒須会長は退任することになっており、その前の理事会で当時の副会長だった人物が次の会長候補として審議にかけられた。しかし総会で出席者から反対意見が出て、再度臨時総会を開いて会長を選任することになった。そこで新会長が決まるまでの間、黒須氏が任期を延長することになったのだが、その途中で黒須氏が退任。そのため22年度の副会長だった北口氏が、当時未定だった副会長職を代行した上でさらに会長職も代行する異例の事態となった。 本来であれば、その後、すぐに総会を開いて後任会長を選べば良かった。総会は理事会が開催を決定し、会長が出席者を招集すれば開くことができる。しかし、それがなかなか開かれずに時間だけが過ぎてしまった。そのため加盟校の関係者からは「なぜ早く総会を開いて新会長を決めないのか」と疑問の声が上がった。一部の学生も総会の開催を希望した。 それでも状況が変わることはなかった。 (「揺れる学生ゴルフ・中」に続く)