期待裏切った「ドラ1」たちは移籍で覚醒できる? 中村奨成、安田尚憲、根尾昂 競合の末にプロ入りしたのに…
アマチュア球界からNPBを目指す狭き門の中で、ドラフト1位で指名される選手は毎年12人しかいない。チームの将来を背負って立つ逸材として期待は大きい。しかし、そのドラ1ですら、活躍できる選手は一握りの厳しい世界だ。 【写真】ポジションが何度も変わるが結果が出ない4球団競合の「ドラ1」 複数球団が競合し、鳴り物入りで入団したものの、伸び悩むドラ1選手たちがいる。その中には、「他球団に移籍した方が活躍の道が開けるのでは」と思わせる選手がいるのも確かだ。もちろん、環境が変わったからといって簡単に好成績を残せるほど甘くはないが、チーム内で置かれている立場を考えると、現役ドラフトやトレードで移籍することが野球人生の転機になるかもしれない。 ■「チヤホヤされる地元から移ったほうが」 広島・中村奨成はその一人だろう。広陵高の3年夏に甲子園で大会新記録の6本塁打をマーク。「強打の捕手」として2017年のドラフトでは中日、広島が1位で競合し、広島が当たりクジを引き当てた。地元出身のスター候補として注目度が高かったが、7年の月日を経た現在も1軍に定着できていない。そんな中で、22年、23年と週刊文春に女性関係のトラブルが報じられた。背番号が22から96に代わり、外野手登録に変更された今年は、30試合出場で打率.145、0本塁打、1打点で終わった。 広島OBはこう語る。 「能力の高さを考えたらクリーンアップを打てる素材です。コンタクト能力が高く、長打力もある。ただ、野球に向き合う姿勢が甘い。近年は危機感を持って変わり始めていますが、グラウンド外の女性問題ばかりが話題になるのは寂しい。地元の広島にいるとチヤホヤされるので、他球団に移籍して再スタートを切ったほうが良いのではと感じます」
■今年はノーアーチに終わった安田 中村と同学年のロッテ・安田尚憲もくすぶっている。履正社高では高校通算65本塁打を放ち、同学年でドラフト1位入団の清宮幸太郎(日本ハム)、村上宗隆(ヤクルト)と共に和製大砲として期待された。17年ドラフトでは清宮のくじを外した3球団が競合の末、ロッテに1位入団。20年から4年連続100試合以上に出場し、4番を任されたこともあったが、本塁打は1ケタ止まり。今年は4月に腰痛で戦列を離れると、三塁の定位置を争う中村奨吾の後塵を拝する形で、出場は55試合に激減。打率.228、0本塁打、15打点。1軍出場がなかった19年をのぞけば、初のノーアーチに終わった。 他球団のスカウトはこう指摘する。 「見るたびに打撃フォームが変わっているので、迷っているのかなと。力強い打球を飛ばしていた時期があったのに、近年は彼の良さが消えています。本来は長距離砲ではなく、外野の間を射抜く中距離打者だと思いますが、強いスイングができないと怖さがない。入団してファームで見た時は広角に長打を飛ばしていて、凄い打者になると感じたのですが、スケールの大きさがなくなっている。三塁の守備は安定感が上がっていますし、このまま停滞しているのは惜しい。他球団で環境を変えることも選択肢だと思います」 ■何度もポジションが変わった根尾 ドラフト1位で入団した選手の中でも、スター性が際立っているのが中日の根尾昂だ。大阪桐蔭では投手、遊撃手の二刀流で全国制覇を3度達成。18年のドラフトでは4球団が1位指名で競合し、中日に入団した。当初は遊撃1本で勝負する決意を固めたが、攻守で課題が多くファームでも結果を出せず、外野手にコンバート。22年に再び遊撃に戻ったが、シーズン途中に投手に転向。新たなポジションで活躍が期待されたが昨季は2試合、今季は3試合登板のみ。1軍でプロ初勝利を挙げられていない。