“指笛”で横浜DeNA東の投球を妨害した“犯人”は「ソフトバンクのユニホームを着て酔っ払っていた」…すぐ近くでネット裏解説をしていたOB池田親興氏が目撃
負ければ王手をかけられる第3戦でシリーズ1勝をチームに呼び込んだのは、その指笛問題に悩まされた東の力投だった。 桑原の先頭打者二塁打をきっかけに牧の内野ゴロで1点のリードをもらった東は、その立ち上がりに、一死一、二塁から山川をショート正面のゴロに打ち取った。だが、森が併殺を焦って、一瞬、ファンブル。併殺を成立させることができずに二死一、三塁となって、日本シリーズで初スタメンとなった首位打者の近藤に同点のタイムリー二塁打を許した。しかしそれ以上、ホームは踏ませない。 流れは横浜DeNAにはなかった。3回にもソフトバンク先発のスチュワートから森、桑原が連続で四球を選び、得点機を作ったが、梶原が2度バントをファウルにして、最後は空振りの三振。走者を進めることができず、牧、オースティンが連続三振に倒れた。オースティンの見逃しの三振は、明らかな内角のボール球をストライクと判定され、本人も球審に毒づくなど、不運な点もあったが、その流れを断ち切る強さが東にはあった。その裏一死一塁から山川をショート併殺打に打ち取った。 10月12日の阪神とのクライマックスシリーズのファーストステージの初戦で、一塁へ走った際に、左足太もも裏の肉離れを起こして、巨人とのファイナルステージには登板できなかった。三浦監督は、DH制で走塁のリスクのない第3戦に東を起用したが、「いけるところまで」と見ていた。 だが、東は7回もマウンドに上がった。 「これでも病み上がりなんで、まさか7回まで投げると思ってなかった」 7回まで、毎回走者を背負い、10安打されたが、初回を除き連打は一度も許さなかった。2番の柳田は3本、3番の栗原に2本のヒットを許したが、4番の山川はノーヒット。5番の近藤、6番の今宮にも、2本ずつ打たれたが、7番の正木、8番の甲斐はノーヒット。見事に打線を分断した。
「ノーヒットに抑えることは絶対に無理だと思ってマウンドに上がってましたし、ランナーを出しながらも抑えるという自分らしい投球ができた」 池田氏は、東の粘投を「責任感の表れ」と分析した。 「まったく怪我の影響は感じさせなかった。ソフトバンクの右打者は入ってくるスライダーを狙っていたが、外のチェンジアップをうまく使い、左打者へは外のスライダーと、上下だけなく、奥行きを使った投球で走者を出しながらも、丁寧に低めにボールを集めて、あと1本を打たせなかった。横浜DeNAはミスが多く、何度も流れがソフトバンクへ傾きかけたが、それを断ち切ったのは東の投球だった」 その東を援護したのが1番打者の桑原だった。 初回の二塁打に続き、5回には、2番手の大津から均衡を破る一発を左中間に叩き込んだ。桑原は27日の第2戦の敗戦後に開いた緊急ミーティングで「悔しくないんか?」とチームに呼びかけた。打つだけでなく2回には正木のセンターを襲う打球をダイビングキャッチでアウトにしている。桑原の有言実行の姿にチームは鼓舞された。 5回には、さらに無死満塁とチャンスを広げ、筒香のライトへの特大の犠飛で追加点。二塁走者の牧が抜けたと勘違いして三塁ベース付近まで進み、タッチアップできなかった走塁ミスで、取れたかもしれない、もう1点を逃したが、8回にも戸柱のタイムリーで追加点を奪い4-1で振り切り、2018年から続いていたソフトバンクの日本シリーズの連勝記録を「14」でストップさせた。 王手される危機を回避した三浦監督の「ホッとした」は本音だろう。 「選手自らがミーティングをしながら、表情を見ても下を向くことなくね。昨日の練習から今日の試合に向けていい形で入れた。桑原が1番打者として打線に勢いをつけてくれた。東が復帰戦でゲームを作って、流れを渡さない投球をしてくれたは大きかった」 投打のヒーローを称えた。 この1勝はシリーズの流れを変えることになるのか。 池田氏は、「もう東は先発では使えない。横浜DeNAの今後の投手事情を考えると流れを変えたとまでは言い難い。打線も牧、宮崎、佐野あたりに当たりが出ていない。ソフトバンクも打線がうまくつながってこない。この先のシリーズを占うのは、第4戦ではないか」という見方をしている。 今日30日の第4戦の横浜DeNA先発は、巨人とのファイナルステージで2試合に先発するフル回転をした左腕のケイ。対するソフトバンクは、まだ今季のポストシーズンでの先発がない石川柊太。横浜DeNAが2勝2敗のタイに戻すのか。ソフトバンクが王手をかけるのか、シリーズの行方を左右する第4戦となりそうだ。
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