ノーベル医学生理学賞の本庶氏会見(全文1)「私は幸運な人間」
本庶佑特別教授のあいさつ
本庶:はい。このたびはノーベル医学生理学賞、いただくことになりまして、大変名誉なことだと喜んでおります。これはひとえに、長いこと苦労してきました共同研究者、学生諸君、また、さまざまな形で応援してくださった方々、また、長い間支えてくれました家族、本当に言い尽くせない多くの人に感謝いたしております。 1992年のPD-1の発見と、それに続く極めて基礎的な研究が、新しいがん免疫療法として臨床に応用され、そして、たまにではありますが、この治療法によって重い病気から回復して元気になったと、あなたのおかげだと言われるときがあると、本当に私としては、自分の研究が本当に意味があったということを実感し、何よりもうれしく思っております。その上にこのような賞をいただき、大変私は幸運な人間だというふうに思っております。 今後、この免疫療法がこれまで以上に多くのがん患者を救うことになるように、いっそう私自身ももうしばらく研究を続けたいと思いますし、世界中の多くの研究者がそういう目標に向かって努力を重ねておりますので、この治療法がさらに発展するようになると期待しております。また、今回の基礎的な研究から臨床につながるような発展ということで受賞できたことによりまして、基礎医学分野の発展がいっそう加速し、基礎研究に関わる多くの研究者を勇気付けるということになれば、私としてはまさに望外の喜びでございます。以上です。 司会:ありがとうございました。それでは質疑応答に入らせていただきます。大変申し訳ございませんが個別取材等の予定もありますので、本会見につきましては8時20分には終了させていただきます。終了後しばらくの間、総長、理事、および高等研究院の先生方に対しましてぶら下がり取材の機会を設けておりますので、よろしくお願いいたします。なお、会見の途中に総理大臣、文部科学大臣から祝辞の電話がありましたら、この場で受けていただきますけれども、その場合も終了の時刻は午後8時20分とさせていただきますので、あらかじめご了承をお願いします。 それでは質問をお受けいたします。最初は京都大学記者クラブの幹事社の朝日新聞社の方からの質問をお受けいたします。その後は挙手をお願いしますので、社名とお名前、どなたへのご質問かをまずおっしゃった上で、よろしくお願いします。進行上、マイクは用意しておりませんので、大きな声でご質問いただきますよう、お願いします。では朝日新聞社の方、よろしくお願いします。 【書き起こし】ノーベル医学生理学賞の本庶氏会見 全文2に続く