ここが変わった!「ふるさと納税」改正のポイントを解説
自治体は今回の改正をどう受け止める?
では、今回のふるさと納税の制度改正について、自治体はどのように受け止めているのでしょうか。 4月13日に、米沢市内の工場で生産されたレノボ・ジャパンのノートPC「ThinkPad」を返礼品に採用したと発表した山形県米沢市の担当者は、「ふるさと納税の限度額の拡大などによって寄付をしていただく機会が拡大することは歓迎したい。米沢市ではこれまで返礼品を多く用意していなかったが、今年度は返礼品を従来の5品目から26品目に拡大した。寄付を募るだけでなく、米沢の特産品を全国にPRするという意味でも、今後もふるさと納税の取り組みを拡充したい」とコメント。ちなみに、返礼品として用意したThinkPadは13日時点で既に予定数に達してしまうなど大きな反響があり、担当者も「想像以上だ」と驚いた様子で語っていました。 一方で、ふるさと納税による財源確保の成功で全国的な注目を集めた長崎県平戸市は、今年度に入ってワンストップ特例制度の申請が全体の8割を超えているそうですが、一方で制度改正の十分な啓蒙・啓発と寄付者へのサポートが重要だと感じているようです。この点について、平戸市の担当者は「寄付の対象が5自治体に制限している点、紙の申請書の提出が必要な点、引っ越しの際には住所変更申請をしなければならない点、制度を利用しても(別の理由で)確定申告が必要な人がいる点など、ワンストップ特例制度の細かいところはまだ十分に伝わっていない。寄付をしようという方に手間を掛けないよう、できる限りのサポートをしていきたい」とコメントしています。
また、ふるさと納税の意義については、「返礼品にばかり注目が集まるが、重要なのはこの制度を通じて街の雇用創出や経済振興などの課題を解決して、街を活性化させるという目的を果たすこと。寄付者の皆様に寄付金の活用について透明性をもって伝え、“こんなに平戸市が元気な街になった”という市民の感謝の声を寄付者の皆様に伝える双方向の取り組みを推進することが、ふるさと納税という制度で最も大切な部分であり、寄付を受ける自治体の責任なのではないか」と述べています。 ふるさと納税は返礼品=地方の特産品がお得に手に入れられる仕組みとしてブームが拡大してきた一方で、全国から集まった寄付金が地方をどのように変えたのか、地方をどのような形で活性化させることができたのかという点については、まだ十分に伝わってこない部分でもあります。ふるさと納税に対する注目の高まりと寄付者の継続的な増加が今後地方創生にどのような効果を生み出すのでしょうか。その本当の効果は、これから見えてくることになりそうです。 (執筆:井口 裕右/オフィス ライトフォーワン)