ここが変わった!「ふるさと納税」改正のポイントを解説
改正のポイントは「控除の拡大」と「手続きの簡素化」
では、このふるさと納税の制度は2015年度からどのように変わるのでしょうか。大きく分けると「控除の拡大」と「手続きの簡素化」というキーワードでまとめることができます。 これまで、ふるさと納税に対して控除対象外となる2,000円を除いた控除限度額のうち、個人住民税の所得割(住民税のうち、収入に応じて変動する課税額)に対する控除額の上限は1割と定められてきましたが、これが2割に拡大されます。総務省の試算によると、配偶者がいる給与所得者で、年収が300万円の場合の控除限度額は1万2,000円から2万3,000円に拡大。年収500万円の場合は控除限度額が3万円から5万9,000円に拡大されます。控除限度額が拡大したことで、希望者はより多くの金額をふるさと納税に寄付することができるようになるのです。なお、この控除限度額は収入や控除の状況によって試算と異なる場合があるため、注意が必要です。
もうひとつは、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の導入です。ふるさと納税をした寄付者は、原則としてその翌年に必ず確定申告をして寄付金額を申告しなければ税の控除は適用されません。しかし、このワンストップ制度では、寄付先の自治体が5団体以内の場合に限り、確定申告を行わなくても税の控除が受けられるようになります。この制度を利用するためには、ふるさと納税を収める相手の自治体に対して寄付時に所定の申請書を提出する必要があり、また税の控除は寄付を行った翌年に課税される個人住民税が対象となります。事後手続きが不要になることで、より手軽にふるさと納税を利用できるようになるのです。しかし、ふるさと納税分の確定申告が不要でも、車や不動産の購入、贈与など別の理由で確定申告が必要な場合があったり、寄付のあと年度内に引越しをした人は転居の連絡を寄付先の自治体にする必要があったりするので、注意が必要です。
こうした制度改正の狙いについて、総務省自治税務局市町村税課に話を伺ったところ、「ふるさと納税はその積極的な活用によって地域活性化や人口減少対策などに資する効果もあると地方自治体、地方議会の各連合組織からも評価を受けている。こういった意義を活かし、政府の最重要課題となっている地方創生を推進するということから、今後もふるさと納税の拡充をはかっていきたい」と担当者は説明しています。