2023年9月のサファリパーク事件で管理責任社ら書類送検…ペットの飼い主への警鐘に【「表と裏」の法律知識】
【「表と裏」の法律知識】#261 福島県のサファリパークで2023年9月に飼育員の男性がライオンに襲われ死亡した事件で、今月9日、園長や当時の管理責任者ら複数人が書類送検されたことが分かりました。 【写真】ニシキヘビ逃走…ペット飼い主が絶対やってはいけないこと この事件は特別な場所で起きたもののように思えるかもしれませんが、私たちが家で飼っているペットでも、管理を怠れば他人を傷つける事故を起こしてしまう可能性があります。そして、ペットが原因で人にケガをさせた場合、飼い主が罪に問われることもあります。 今回の事件ではライオンが入った檻(おり)を施設管理責任者が適切に管理しなければいけません。にもかかわらず、おそらく不注意で檻の扉が開いた状態になり、それによりライオンが檻を出て飼育員を襲ってしまった状況かと思いますので、業務上過失致死罪の疑いがかかっているようです。 この点については、ペットの飼い主にも当てはまります。散歩中にリードをつけていなかった犬が通行人に噛みついたりした場合など、飼い主の管理の不注意で相手にケガをさせてしまった場合には、過失致傷罪が適用される可能性があります。 過失致傷罪は30万円以下の罰金または科料という、刑罰を科される犯罪であり、処罰された場合には当然、前科になります。 また刑事的な責任だけでなく、民事的な責任、つまり被害者のケガの治療費や慰謝料など、安くない金額を支払う必要が出てくる可能性もあります。 このように、規模や態様、その責任の重さなど、今回のサファリパークで起こった事件と同一視できるわけではありませんが、ペットの飼い主にも同じことは起こり得ます。ペットを飼うと決めたからには、きちんと世話をするのはもちろんですが、しつけや安全管理をきっちりと行うなど、飼い主としての責任をしっかり果たしましょう。 (髙橋裕樹/弁護士)