「使用済みティッシュだらけの居室」「そこにネズミが巣くい、大量の糞が…」父が病死し、久しぶりに実家を訪れた息子が見た「絶望の光景」ーーゴミ屋敷となった実家はどうなるのか
「実家がゴミ屋敷になっていたことは父親が亡くなるまで知らなかったようです。そんな状況は恥ずかしくて誰にも言えないけど、誰かに頼らないことには解決しないと悟ったとのことで、こっそり私たちに連絡をくれました。実際、息子さんは一緒に暮らしている奥さまにはゴミ屋敷の件を内緒にしていました。なので、すべて一人で対応されていて、片付けの当日は仕事があるというので現場には来なかったです」 聞けば息子は見積もりの際も家の中にほとんど入ろうとしなかったという。そのため、遺品を取り出すようなこともないまま片付けの当日に至った。
依頼の内容は「貴重品以外はすべて処分してほしい」というものだった。それぞれの家庭にそれぞれの事情があるが、背景を知れば知るほど悲しい気持ちになる現場だった。 午前10時、スタッフ6人で一軒家の片付けが始まった。2階でネズミを駆除している間に、1階のキッチン、居間、和室を片付けていく。 ネズミの糞が家中にあるので、作業用のマスクを装着してひたすら生活ゴミを袋に詰めていく。いつどこからネズミが出てくるかわからないので、スタッフたちはいつもより慎重にゴミを拾い上げていた。
■依頼者の前で「絶対NGな行動」 「うわっ、出た!」 ゴミの中からネズミが飛び出してきたようで、信定氏が大きな声をあげてしまった。ただ、依頼主が立ち会う現場ではNG行動のひとつである。 中には目を背けたくなるほど汚れている現場もある。しかし、それを表情に出してしまえば、勇気を出して助けを求めてきた依頼主のトラウマになってしまうかもしれない。そして、また部屋を汚してしまうことがあったときに、そのトラウマによって業者に相談すらできなくなってしまう。
そのためイーブイでは、ゴミ屋敷に対する耐性がついていないスタッフを家の中に入れることはない。慣れるまでは外に停めてあるトラックにゴミを積み込む作業を担うことになる。 いきなり飛び出てきたので驚いてしまったが、ただ、そのネズミが意外に可愛らしいのである。 繁華街のゴミ捨て場にいるような大きなドブネズミではない。胴体はせいぜい10cmくらいのもので、尻尾を入れてようやく20cmほどの小さなネズミなのだ。そして、文直氏いわく、子どものネズミというわけでもないらしい。