タンスにしまわれた汚れた下着 ゴミ箱には用を足した跡…不可解な行動にも理由があった
安心の道しるべ
介護の現場で出会った人から「幸せになる方法」を教わった、と語る介護福祉士でイラストレーターの高橋恵子さん。今度はあなたに、イラストと言葉でメッセージを届けます。 【本編を読む】次のイラストは 「家の中で僕を戸惑わせる、意外なモノは」
ゴミ箱に用を足していた。 タンスから汚れた下着がでてきた。 認知症がある人の、そんなトイレの失敗を目にした時、 発見した方は目の前に広がる光景のインパクトが強すぎて、 「トイレもできなくなってしまうくらい、わからなくなってしまったのか」と、途方にくれがちです。 けれど、例えば「ドアノブに阻まれてトイレにたどり着けなかったので、ゴミ箱に用を足してしまった」などと経緯を聞けば、 切羽詰まった心身の緊急対応として、おかしなことではないと思えませんか? ご本人の失敗した理由を知ると、 「それなら私でも、同じことをしてしまうかも…!」と思いなおすものばかり。 アルツハイマー型認知症ですと記憶障害が重なる場合も多いですから、 失敗の原因を、ご本人の口から明確にたどれないかもしれません。 なので普段から周囲が、 形を見分けづらいんだな、 ボタンが押しづらいんだな、 などと、ご本人の困りごとの傾向を観察し、共有しておくと、 いざという時に「もしかしたら原因は…」と予測の目を持ちやすくなります。 安心の道しるべの作り方は、 なかなか一筋縄ではないかもしれませんし、 せっかくつくった目印でさえも、見落としてしまうこともあります。 それでも、本人のできることや可能性を大切にすること。 それこそが、認知症がある人とご家族にとって、 真のいばしょの作り方ではないでしょうか。 《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
高橋恵子