「新型コロナウイルス学者」、ついに新型コロナウイルスに感染する【「新型コロナウイルス学者」の平凡な日常】
■「感染しないにこしたことはない」 ちなみに、私が感染した変異株はXBB.1.9。その感染経路を思い返してみるも、まったく思い当たる節がない。直前まで滞在していた海外で感染したのか、帰りの飛行機で感染したのか......。記憶が正しければ、後ろの席に座っていたビジネスマンが、飛行機に乗り込むまではマスクをしていたのに、席に着くとなぜかマスクを外し、結構な頻度で咳をしていた記憶もあるが、そこで感染してしまっていたのだろうか? 発症の前々日(6月27日)の朝にチェコのプラハ(41話)から帰国し、荷物を自宅に置いてすぐに茨城県つくば市に向かい、『週刊プレイボーイ』の企画である、五箇公一先生(国立環境研究所)との対談に臨んだ。その後、五箇先生や週プレの関係者の面々と一緒に食事をしている。しかし、ここで会った面々も、ラボメンバーも、そして家族も、誰も私から感染しなかった。つまり幸いなことに、私の実効再生産数はゼロであった。 一度感染してしまって痛切に思うことは、当たり前のことなのだが、「感染しないにこしたことはない」という実感である。前年(2022年)の秋までタバコを吸っていたせいもあるかもしれないが、私の症状は正直かなりしんどかった。数日で快方に向かったとは言え、初日の急激な悪化具合には「死」が頭をよぎった。大手既成メディアは「コロナ明け」などという造語を使っているが、報道していないだけで、新型コロナの流行は決して収束していない。 感染した実感として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、ふつうの風邪ともインフルエンザとも明らかに違う病気であった。症状はもちろん人それぞれだと思うが、少なくとも私の実感としてはそうである。少なくとも、そのような感染症がいまだに蔓延していること、それが世界から消え去ってはいないことは理解しておくべきだと思う。 文・写真/佐藤 佳
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