ソフトバンクG社長、アーム買収にみずほFGの陰-全株取得提案
(ブルームバーグ): ソフトバンクグループの孫正義社長は21日、株主総会で傘下の英半導体設計会社アーム・ホールディングス買収当時を振り返り、みずほフィナンシャルグループの佐藤康博元最高経営責任者(CEO)から背中を押されたことを明らかにした。
孫社長は、みずほFGの佐藤氏に「そんなにアームが素晴らしいなら100パーセントいったらどうですか」と提言を受けたとし、融資を同グループに依頼し「異例の速さで承諾された」とした。
同社長が昨年の株主総会で「反転攻勢」への意欲を示してから1年が経った。9月にはアームが上場しNAV(時価純資産)は増加、守りから攻めに転じる環境が整う中、午前10時から都内で開催されている総会では、明確な投資戦略は語られなかった。
ソフトバンクGは5月、前期(2024年3月期)の純損益が3年連続の赤字になったと発表、四半期ベースでもビジョン・ファンド事業のセグメント利益が再び赤字となるなど不安要素も散見する。半面、同社株価は年初来6割上昇している。
同社株上昇の背景には、アーム株上昇と自社株買いの思惑がある。同子会社の時価総額は27兆円と、親会社の15兆円を優に超えている。6月には米ヘッジファンドのエリオット・マネジメントがソフトバンクG株を大量に取得、150億ドル(約2兆3800億円)相当の自社株買いを求めていることが判明した。
孫社長は総会で自社株買いについて、「小さい話」だとし、「いつ、いくらかはこちらにお任せいただきたい。いつでもやる用意はあるし、やらないかもしれない」と述べるにとどめた。
次の一手、語らず
孫社長は20日、国内通信子会社の株主総会に出席し、海外を中心に「次の大技を狙う。ダイナミックにやっていく」と、今後の投資戦略について語った。「当たるか、外れるかということをいとわない仕掛け」をしていきたいとの方針を示し、「新しい進化の種を見つける」のが使命だとした。