“賞味期限”の過ぎた「小池百合子」にすがる萩生田光一氏 欲しいのは公明党との太いパイプ
だから自民党東京都連は早くから、小池知事を推薦することを決めていたという。しかし公明党や都民ファーストの会からの出馬要請を早々に受け入れたものの、「政治とカネ」問題の影響を懸念した小池知事は、自民党からの要請受け入れを渋っていた。とりわけ萩生田会長は、派閥のパーティー券キックバック問題で不記載金額が2728万円にも上っている。 そこで「確認団体」を介在させ、政党色を抑えて各党が小池知事を応援することになったわけだが、そこには2010年の参院選の東京選挙区で171万734票も獲得した蓮舫氏への対抗心が見てとれる。 ■自民に不快感を示す国民民主の玉木代表 蓮舫氏は小池知事が所信表明を行った5月29日に都議会を訪れ、各会派の事務所を表敬訪問。日本共産党の議員から花束を受け取ると、満面の笑みを浮かべた。同党東京都委員会は「蓮舫さんを都政へ押しあげ」とする機関紙「東京民報」6月号外を発行するなど、全力で応援する態勢を整えている。しかも同党は参院東京選挙区で2022年は68万5224票、2019年は70万6532票を獲得しており、手堅い組織票が期待できる。小選挙区で共産票をひそかに期待する立憲民主党の衆院議員や1人区の参院議員にとっても、この協力関係は悪くない。 だが立憲民主党本部としては、支持母体である連合の意向もあり、日本共産党とおおっぴらに接近することはなるべく避けたい。また国民民主党との連携を進めたい立憲民主党の泉健太代表らの思惑にも、逆行することになりかねない。 その国民民主党は、次期都知事選については静観を決め込むようだ。同党の玉木雄一郎代表は、自民党が小池知事に抱きつこうとしていることに不快感を示し、榛葉賀津也幹事長は日本共産党が支援する蓮舫氏を「御一緒できない」と切り捨てた。
なお、独自候補の擁立を模索していた日本維新の会は、6月12日に断念を発表。いち早く出馬表明した石丸伸二・前安芸高田市長(広島県)に乗っかろうとしたとの噂もあったが、同日の会見で藤田文武幹事長は「(候補を立てるなら)勝たなくては意味がない」と、現時点では誰も推薦する予定がないことを明言した 6月20日の告示まであとわずか。各陣営はほぼ出揃い、立候補者は4年前の都知事選に出馬した過去最多の22人をはるかに上回ることが予想される。それに加えて小池VS.蓮舫という女性同士の戦いが、都知事選の歴史に新たなページを刻むことになるはずだ。いずれにしろ次の都知事選は、日本の民主政治にとって大きな分岐点になることは間違いない。 (政治ジャーナリスト・安積明子)
安積明子