マイクロソフトがUAEのAI企業G42に15億ドル投資 米政府の意向を反映、米中AI覇権争いの渦中に
G42のシャオCEO、中国ビジネスのキーパーソンとの報道
米国サイドの警戒感は実際、シャオCEO個人にも及んでいたとみられ、『ニューヨーク・タイムズ』は当局筋情報として、「CIAはシャオ氏の極秘扱いのプロフィールを作成した」と報じている。同氏は米国で教育を受けた後、米国の市民権を捨ててUAE国籍を取得した人物だ。 CIAの報告書の結論は明らかではないが、中国の国家副主席である韓正氏が、シャオ氏の父親(婚外子)だという情報がある。米国に亡命した中国人実業家のマイルズ・グオ氏が暴露したもので、その根拠は示されなかったため、真偽は不明。ただ、中国語のSNS上では半ば公然の事実であるかのように、関連情報がアップされている。 香港系の『アジア・タイムズ』紙によると、シャオ氏は過去5年間にわたり、UAEの首長らと様々な中国企業をつなぐキーパーソンだったという。2014年まで米ビジネスインテリジェンス企業マイクロストラテジーの最高技術責任者だったシャオ氏は、その後、2018年までUAE企業ダークマターの子会社ペガサスの最高経営責任者を務め、2018年にG42の最高経営責任者に就任した。ダークマターはスパイウェアや監視ツールの開発を手掛けており、前出の米議会の特別委員会もこの点を問題視していた。
両社ウィンウィンでUAEのAI大国化にも恩恵、中国はどう出る
ただ、米国による圧力の下、G42は米国をこの分野のパートナーとして選択し、中国から距離を置き始めたようだ。ブルームバーグ通信は、今回の契約以前の段階で、G42は米国との間で、中国から手を引くという密約を交わしていたと報じた。『ニューヨーク・タイムズ』によれば、G42は今回、ファーウェイの通信機器を含む中国製機器を排除することで合意。マイクロソフトのAI技術を保護するために、G42による同社技術の利用方法をマイクロソフト自ら監査する権限も与えられたとされる。 G42はまた、「TikTok」を運営するByteDanceを含め、中国企業への投資持分をすでに手放したという。