「演劇を観て、人を好きになってほしい」朝夏まなと×ノゾエ征爾 舞台『ロボット』で初タッグ
「アベンジャーズ」のような共演者たちと対峙する刺激的な稽古場
――俳優さんによる本読みでの感触はいかがでしたか? ノゾエ 想像していたよりもだいぶ面白かったです。俳優さんの力も大きいし、バランスも良かったんでしょうね。生きた言葉ってこんなにいいんだ!と感じられて。翻訳家の栗栖茜先生も初日にいらしてくださったんですけど、「素晴らしかった、面白かった」とおっしゃってくださいました。とても前向きな空気が稽古場にあると感じられたことが、何よりも良かったですね。笑いもたくさん起こっていましたし。 朝夏 キャストの皆さん、どの方を見ても面白くて。ヘレナは唯一、外から孤島にやって来る人物なので、この座組における私自身もすごくリンクしているなと感じていますね。私、いっけいさんの社長さんを始め、ここに登場する工場の技師や博士などのオジサマ方が「アベンジャーズ」に見えて仕方がないんですけど(笑)。その方々の中に乗り込んでいくガッツある女性、そんな感じでいかないと、皆さんのパワーに飲み込まれてしまう気がして。皆さん毎回違う表現をされるので、ゲラの私は笑いを堪えるのが大変です(笑)。それだけ刺激のある中に入れさせてもらえたことが幸せだなと。皆さんからたくさん学ばせていただいています。 ノゾエ いっけいさんは過去のどの作品を見ても、ご本人が生き生きと楽しんでいらっしゃる印象があったんですね。今回稽古場でご一緒して、本当にそうでした(笑)。ものすごく夢中になって、ずっと芝居のことを考えている“演劇大好き小僧”みたいな感じで、そのエネルギーに圧倒されますね。 ――いっけいさんが劇場公式サイトの動画コメントで、ノゾエさんのことを「掴みどころのない人」とおっしゃっていますね。 ノゾエ ああ~、かもしれない。よく言われるので。僕のほうこそ、いっけいさんにそう思っていますけどね(笑)。何を考えていらっしゃるんだろうって。まあ僕としては、演出家というのは権力者じゃないし、何か優位的なポジションにいるわけでもない、ってことは早めに示したいなと思っていて。「僕は何も知らないし、わかってないです。一緒に探して一緒に迷いましょう」ということを、わざと示すところがあるので、それがもしかしたら掴みどころのない雰囲気になってしまうのかもしれません。 朝夏 稽古場のお隣の席がいっけいさんなので、よくお話をさせていただいています。 ノゾエ どんな話をされているんですか? 朝夏 ご自宅に防音室を作ったんですって。 ノゾエ 稽古場を(笑)!? 朝夏 はい。「ちょっと狭くて、そこで大きい声出して練習していたら酸欠になっちゃった」っておっしゃっていました。(一同笑)それで、「朝夏さん、あんなに叫んでいるけど酸欠にならないの?」って聞かれました。 ノゾエ ハハハ! 朝夏 「ここは空気がいっぱいあるから大丈夫です」って答えました。いっけいさん、チャーミングですよね(笑)。 ノゾエ やっぱり家でも夢中になっちゃうんだ。本当に少年みたいですね。