令和だけども!「24時間働けますか?」の精神で働いていた50代経営者…自らの働き方を見直すきっかけになった若手経営者からの“耳が痛い”ひと言とは?
何のために、誰のために仕事をしているのか?
「二次会なんて無駄だから帰りましょう」という若手経営者の言葉を受けて、川口社長は家に帰りました。時刻は21時を過ぎていました。本当は会社に戻ろうかなとも思ったのですが、酒が少し入っており、かつ若手経営者に言われた言葉が引っかかっていたので、珍しく直帰したのです。 「……ただいま」 「あらあなた、おかえりなさい。今日はずいぶん早いのね」 「子どもたちは?」 「もう寝てる。あなたにとっては早いかもしれないけど、子どもたちには遅いのよ」 子ども部屋に入り、ベッドで安らかに眠る子どもたちの姿を見て、彼は「いつの間にこんなに大きくなったんだろう……」とつぶやきました。静かに手を伸ばし、柔らかい髪に触れ、頬を撫でると、彼の腕を小さな手が優しくつかみました。どうやら寝ぼけているようです。 自分が頑張ればいいと思っていた。すべて自分でできると思っていた。やらなければならないという気になっていた……。でも、時間はいくらあっても足りない。人脈形成や異業種交流も大切だ。顧客も、社員も、家族も……。私は何のために、誰のために、働いているのだろう。 海外では、家族の時間はもちろん、プライベートも大事にすると聞く。休日に家族と過ごすのは当たり前だ。そういう文化が根づいているのだろう。でも日本の、とくに中小企業の経営者には、家族サービスへのプレッシャーが弱い。どうぞ働いてください、と言わんばかりだ。朝から晩まで働ける。なのに、日本の生産性が低いのはどうしてだろう。 家族と仕事、そのうちのどちらかを犠牲にしなければならないのか。本当にそうなのだろうか? 何かが間違っているのかもしれない……。家族も仕事も犠牲にせず、ちゃんと両立して、みんなが笑顔になる方法はないのだろうか。あるとすればどんな方法が? 川口社長は副社長の言葉を思い出していました。「少しは私たちを頼りにしてくれませんか?」。そしてその言葉の意味を考えました。彼は子ども部屋を出て、カバンからスマートフォンと1枚の名刺を取り出しました。 「……あ、もしもし。川口です。どうも。先程はありがとうございました。それで折り入ってご相談があるのですが……」
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