モノを「運ぶ」見えざる人々の手を体感する『物流博物館』。
1階は「物流の歴史展示室」。年一回の特別展・企画展の期間を除き、主に江戸時代~昭和までの物流のあゆみを当時の資料、写真、模型などで紹介する常設空間だ。例えば「飛脚」というと軽装で走っているイメージがあるが、帯刀し、馬を使って商品や現金も運んだ民間の飛脚もいたとか、まだまだ知らない物流の話や道具などを実際に見ながら知ることができる。この博物館の最寄りである品川駅の名称は宿場町品川宿に由来するので、一層感慨深い。
「自給自足でもしない限り、物流なしでは生活は成り立ちませんよね。ただ、物流はシステムなのでなかなか目には見えづらい。そんな“縁の下の力持ち”ともいわれる世界を、少しでも関心を持って、理解していただくのがこの館の役割だと思っております」
物流の歴史は物を運ぶための工夫の歴史。馬や牛、人間や自然の力だけで物を運んでいたときから約150年。寝静まった深夜も、年末年始も、「運ぶ」という営みは続く。その面白さ、大変さ、そして、荷物が玄関まで届く「当たり前」を成り立たせてくれる見えざる人々の仕事に、感謝の気持ちを感じる。
インフォメーション
物流博物館 ◯東京都港区高輪4丁目7-15 ☎︎03・3280・1616 10:00~17:00(入館は16:30まで) 月・第四火、祝日の翌日、年末年始(12月28日~1月6日)休 モノ(商品)が生産され、消費者にいたるまでのながれが物流だ。ここは、1958年に日本通運本社内に設立された「通運資料室」を前身としており、文書史料約6,000点、美術工芸資料約200点、実物資料約1,000点、写真資料約10数万点、映像資料約200点、図書資料約15,000冊を収蔵。物流全般について紹介することを目的とし、体験スペースではしゃぐ子どもの姿も。現在は企画展「鉄道古写真展―鈴木直利氏コレクションから―」を2025年1月26日(日)まで開催中。詳細は公式サイトにて。 photo: Hiroshi Nakamura text: Ryoma Uchida edit: Toromatsu
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