ダイヤ改正号の部数は今も約6万部…来年で100周年!『JTB時刻表』が毎月刊行される意外すぎる訳
しかも時刻データはPDFや紙で支給され、すべての数字を編集部で手打ち入力しているという。3月の改正号ともなると膨大なデータを入力しなければならず、入力したデータは間違いがないよう何度も確認が繰り返される。そして、最初に支給されたデータからダイヤが変更になることも多々あり……。 もちろん、この他にも多くの作業が必要になるが、この一事だけでも、改正号の制作にどれだけの労力がかけられているのかがわかるだろう。 ◆“ダイヤ改正”が無かった月は一度も無し 年に1度、3~4ヵ月かけて乗り切る3月のダイヤ改正。ここで気になるのが、JRほか各社の改正時期に刊行すれば、月刊でなくとも3~4ヵ月に1度の季刊という形も考えられるのではないかという点。 しかし、時刻表にはもちろんそうもいかない事情、月刊でなければならない事情があるという。 「JRさんの改正は3月ですが、ほかの会社では8月1日とか9月1日とか、毎月どこかしらで改正は行われていますし、お盆や正月、花火シーズンなどは、臨時列車の運行もあるので、それらに対応するには最低でも月刊でないとできません。 鉄道、バス、航空などで約900社、そのほかに駅弁の会社の約100社のデータを扱っていますから、それら含めて“改正が無かった月”はこれまでに一度もありません」 毎月約1000社の改正や臨時便に対応するには“最低”でも月刊でなければならないという。この壮大でかつ地道な作業の積み重ねが、読者や利用者の信頼を得ている大きな理由だろう。 この信頼感に加え、毎月の巻頭特集もまた、この本のもうひとつの顔である。 「かつては毎回国鉄さんのキャンペーンを取り上げていましたが、国鉄民営化に伴って時刻表が『JR時刻表』(交通新聞社)と『JTB時刻表』に分かれてからは、表紙に鉄道だけでなくバスや飛行機を載せたり、季節に応じた旅を意識して幅広く特集を組むようになりました。 今年の8月号では花火、9月号では駅弁の特集を組んでいます」 最新の’24年9月号では読者アンケートを実施。全国の人気駅弁を巻頭特集で取り上げた。その結果も興味深いものになったという。 「今回、アンケートをとってみてわかったのが、『峠の釜めし』や『牛肉どまん中』など人気の駅弁は本当に王道ということ。 『峠の釜めし』が1位だったので、かつて信越本線横川駅で登山仕様のアプト式への接続を待つ間に『峠の釜めし』が食べられていたことに由来して、9月号では現役車両の走行風景ではなく、横川-軽井沢間を鉄道が走っていた頃の写真にしています」 鉄道ファンからのマニアックな投票が多いかと思いきや、王道の駅弁が人気。こういった結果も編集部の想定外であり、ファンの声を聞く面白いところだ。