ダイヤ改正号の部数は今も約6万部…来年で100周年!『JTB時刻表』が毎月刊行される意外すぎる訳
紙の時刻表を使いこなせる人にとっては、インターネット検索よりも利便性が高く、旅の計画も立てやすいという。 また、台風などの自然災害による運休など、ダイヤが思わぬところで急に乱れてしまう場合でも、時刻表であれば迂回路を検討しやすく、梶原氏も「そんなときは、私も手元に時刻表があると落ち着きます」と言うほど、紙は利便性の面でもまだまだ優位な点は多い。 ◆「運賃が合わないんですけど」……日常茶飯事だった企業の経理からの問い合わせ このように時刻表を使いこなせるようになるのは編集部にいれば当然と思えるが、入社当時や編集部に配属されたばかりの時期だとやはり難しいもの。 最近こそ少なくなったが、インターネット前夜では、利用者からの問い合わせ対応で多くの新入社員が鍛えられていたという。 「私が入社してしばらくの間、多かったのが企業の経理担当の方からの『社員から申請された鉄道運賃の金額が、時刻表で計算した金額と違うようなのですが、どっちが正しいですか……』というお問い合わせでした。 とくに4月頃は経理担当になったばかりの方からのお問い合わせも多く、そうなるとゼロベースから運賃表の見方や計算の仕方をお教えするんですね。向こうの会社ではそこまで教えてくれないからって(笑)。 一方で、時刻表の編集部に配属されたばかりの新人も、そういったお問い合わせや鉄道ファンの方からの質問に鍛えられ、時刻表の見方や運賃の計算方法も覚えていくわけです」 そうして鍛えられた時刻表の精鋭である編集部員たちが、もっとも多忙を極めるのが、毎年3月のJRダイヤ改正のタイミングだ。 全国の在来線や新幹線のダイヤが改正されるため、その数は素人が想像しただけでも膨大な量になるのは明白だ。この3月の改正に向けての作業が、編集部にとっては年で一番の大繁忙期となる。 「3月の改正に向けて、12月ぐらいから取り掛かるのですが、月刊誌なので直近号の編集もしつつ、改正を反映した3月号の2冊を並行しながらやっていて。 鉄道もバスもありますし、バスは4月1日改正が多くて、そこも反映しつつ、あと飛行機もあり、いろいろな会社のデータが入り乱れますので……ちょっと今はあまり想像したくありませんが……、笑っちゃうくらいです(笑)」