歴代GK最多666試合出場。南雄太が振り返るサッカー人生「29歳と30歳の2年間が一番上達できた」
一番成長を実感できた柏レイソルでの“2年間”
南:キャリアの中では、30歳の時に柏と契約満了になったことがすごく大きい出来事でした。サッカーができなくなる恐怖心が初めて芽生えましたし、「このままオファーがこなかったらサッカーをやめないといけない」と初めて考えた瞬間でした。 そこから(ロアッソ)熊本にオファーをいただき、移籍することになりましたが「この先、いつ同じようなことが起こるかわからないから、後悔しないようにしよう」と思い、目の前のことに全力で取り組むようになりましたね。 澤村:なるほど、では一つ目のターニングポイントはそこですか? 南:そこも一つですが、29歳と30歳の2年間はターニングポイントですね。横浜FCから菅野(孝憲)が柏に移籍してきて、彼と過ごした2年間は自分をすごく変えてくれましたし、2年間ほとんど試合に出れなかったのですが、サッカー人生の中で一番うまくなった実感のある2年間でした。 ポジションを奪われる形になり、最初は言い訳を探しているような、矢印が外に向いていたんです。その状態から段々と「俺に何かが足りていないから試合に出られないんだ」と思うようになりました。 そこが大きなきっかけとなり、菅野からなりふりかわまず(得られるものを)盗んでやろうという気持ちになりました。思い返してみても、心も技術も大きく成長できた時間でした。 澤村:僕はこれまで30年間 GKコーチとして、ジュニアからトップまでのすべてのカテゴリーを指導してきましたが、「GKは試合に出続けることで成長していけるポジション」という認識があるんです。なので、雄太から「試合に出ていない2年間が一番成長した」と聞いて少し驚いたところはあります。 南:純粋に「もっとうまくなろう」といろんな人の話を聞いたり、プレーを見たりといった探究心が生まれたんだと思います。それまでは18歳でプロになって、うまくいっちゃっていたというか。なんとなく進んでいっていたんだなと。「まだまだ上達したい」という気持ちを持つことが自分自身を成長させるために一番大切なものだと感じました。