古今東西の「バディ作品」を読み解き、リアルな恋人や夫婦の関係をアップデートしよう!
――「AIがバディ」とか、もうSFではありそうですね。ちなみに次の朝ドラの主題歌はB'z とのこと。稲葉(浩志)さんと松本(孝弘)さんはバディと呼んでよいでしょうか。 トミヤマ バディでしょうね。ふたりの間には音楽という共通の目標がありますから。お互いが高め合っている感じで、奇跡のバディかもしれない。本の巻末でサンキュータツオさんと対談したんですが、「ふたりだけがその景色を見ているとわかると、だんだん結束が強くなる」というようなことを言っていて。 ミュージシャンにも同じことが当てはまるのかもしれません。下世話な見方ですが、ふたりの老け方の方向性まで足並みがそろっていて、本当に仲良しバディだなと思います。 ――本には入れられなかったバディはありますか。 トミヤマ 大谷翔平選手と犬のデコピンですね! 最強のバディだと思います。 タイトルに「入門」とつけていますが、すべてのバディを取り上げることはできないので、読者には私の本をきっかけに、おしゃべりして、考察の範囲を広げてほしいです。 ●トミヤマユキコ1979年生まれ、秋田県出身。早稲田大学法学部、同大学大学院文学研究科を経て、東北芸術工科大学芸術学部准教授を務める。手塚治虫文化賞選考委員。大学では現代文学・少女マンガ研究や創作指導を担当し、ライターとしても幅広く活動。 著書に『少女マンガのブサイク女子考』(左右社)、『10代の悩みに効くマンガ、あります!』(岩波ジュニア新書)、『女子マンガに答えがある──「らしさ」をはみ出すヒロインたち』(中央公論新社)などがある ■『「ツレ」がいるから強くなれる! バディ入門』大和書房 1870円(税込)男女に関わりなく、互いの存在を肯定し合う"特別なふたり組"である「バディ」について扱った斬新な一冊。映画『ブルース・ブラザーズ』、アニメ『サザエさん』、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』、マンガ『鋼の錬金術師』、絵本『ぐりとぐら』、歌手「PUFFY」など、取り上げるバディ例は多数。読めば読むほど、「あのバディはどうだろう?」と考え始めてしまう、不思議な魅力が詰まった意欲作! 取材・文/矢内裕子