キム・ソンホにインタビュー「生き方によって人の顔は変わっていく」
──人気を獲得するというのは多くに愛されるということでもありますが、常に有名税もつきまとうと思います。キム・ソンホさんは、有名であることとどのようにうまく付き合っていますか? 僕、有名なんですかね? この俳優という仕事を選んでから、誰かに知ってもらえていることは、本当に感謝すべきことだと思っているんです。だから、人に見てもらえるということ、有名税をいかに感謝しながら幸せな気持ちで楽しめるかが大事と考えています。また、有名である瞬間があるとすれば、僕自身の人生で、多くを占めているわけではなく、ごく一部だと思うんです。有名な瞬間もあれば、そうでない瞬間もある。なので、この瞬間をどう幸せに過ごすかをずっと考えているところです。でも、間違いなく言えるのは、今、自分は本当に幸せで感謝しているということですね。 ──今をすごく大事にされているんですね。 そうしようと努めていますし、そうやって生きています。 ──日本の場所でも、文化でも、食でも、キム・ソンホさんにとって親しみを感じるものはありますか? それはですね、ひつまぶしを食べた名古屋ですね。街を散策しましたが、不思議と東京よりも、日本のドラマやアニメで見た風景に近いように感じて、親しみやすさを覚えました。そこで食べたひつまぶしの味も忘れられません(笑)。加えて、日本のみなさんはとても親切ですよね。言葉や話し方に滲み出ているというか。そのみなさんの親切さに触れるたびに、自然と心が開いていく感じがして、とても好きです。 ──次の出演作としては、再びパク・フンジョン監督とのタッグとなるノワールアクションドラマがありますが、映画やドラマにおけるジャンルはあまり気にしませんか? それとも、挑戦としてとらえていますか? デビューしたての頃は、ジャンルについて考えることもありましたが、今はあまりこだわりはありません。もちろん、新しいジャンルに挑戦することはとても意義があると思いますが、次はこういうジャンルをやってみたいとか、こういうジャンルをやるべきだというふうには考えません。それよりも、僕が最近大事にしているのは、作品の中で自分が役として本当に生きられるのかどうかなんです。その人物が自分にどのように響き、それをどれくらい表現できるかに力を注いでいます。ジャンルというよりは監督と作品の色が重要で、生き生きとした姿としてカメラアングルに映し出されるようしっかりと意図し、計算して、その役という人物をつくり出すことに集中しています。 ──パク・フンジョン監督のドラマシリーズ『暴君』(2024年下半期Disney+で公開予定)も、楽しみにしていますね。 ありがとうございます!『GINZA』は個人的にも好きな雑誌なので、嬉しかったです。読者のみなさんにまたお会いできるよう、がんばりたいと思います。 ●『貴公子』 フィリピンで病気の母のために地下格闘で日銭を稼ぐ青年マルコは、韓国人の父の行方を知らない。そんなある日、彼の前に“父の使い”を名乗る男が現れ、マルコは韓国に向かうことに。彼が飛行機の中で出会う謎の男“貴公子”に恐怖を感じるマルコだったが、彼の執拗な追跡と狂暴ぶりに徐々に追い詰められていく…。 監督・脚本_パク・フンジョン 出演_キム・ソンホ、カン・テジュ、キム・ガンウ 、コ・アラほか 配給_シンカ 2023年製作/118分/韓国 © 2023 GOLDMOON PICTURES & STUDIO&NEW. All Rights Reserved. 4月12日(金)新宿ピカデリー ほか全国公開 ●KIM SEONHO キム・ソンホ/『メモリーインドリーム』、『ICE(原題/日本未)』、『タッチング・ザ・ボイド/運命を分けたザイル』といった演劇作品や、『キム課長とソ理事 ~Bravo! Your Life~』、『トゥー・カップス~ただいま恋が憑依中!?』、『100日の郎君様』、『君のハートを捕まえろ!~Catch the Ghost~』といったTVシリーズなど、さまざまなジャンルで確かな演技力が認められている。2020年のTVシリーズ『スタートアップ:夢の扉』、2021年の『海街チャチャチャ』で国内外のファンを魅了し大ブレイク、多くの支持を得ている。そして、本作で満を持して映画デビューを果たす。 ----- Text&Edit_Tomoko Ogawa
GINZA