キム・ソンホにインタビュー「生き方によって人の顔は変わっていく」
──正体がわからない人間を演じるうえでの面白さはありました? 貴公子って、現実には存在し得ないようなファンタジー的な人物じゃないですか。俳優にとって、そういう人物をつくりあげていくことは、有意義であり、喜びでもあるんですよね。こんな風にしたらもっと面白くなるんじゃないか、もっとかっこいいんじゃないかと想像を巡らせながら人物を構築するプロセスそのものが、俳優をしていて本当によかったなと思えるような作業でした。 ──髪の乱れやブランドのスーツが雨に濡れることなどをすごく気にする貴公子の、人間らしい小ささが、ある種の愛らしい滑稽さとして描かれていましたが、キム・ソンホさんは、そういう些細なことを気にしてしまう部分はありますか? 正直にお話をしますと、外見的なことよりも、僕は食べることが大好きなんです。だから、自分だけが何かを食べられないような状況があると、とても残念に思います。そういうときには、僕ってこんなに小さな人間だったのかと思うんですよね(笑)。例えば、友達が美味しいものを食べに行ったのに、僕だけ呼んでくれなかったりすると、真剣に僕は食べることが大好きなのになぜ?と思いますし、「どうして連れていってくれなかったんだ!」と言いますね、正直に。でも、貴公子ほどは、小さなこだわりはないタイプだと思います。 ──キム・ソンホさんがよりいい状態でいるための、メンタルと身体のケア法があれば教えてください。 誰でもしていることだとは思うのですが、運動はしています。それと、僕はその人の生き方によって顔が変わっていくものと信じている人間なんですね。なので、辛いことを考えてしかめっ面をしていれば、それはそのまま顔に現れると思うので、できる限り前向きに考えるように努めます。日常ではなるべく笑顔で物事を楽しんでいれば、自然な姿として、自分の考え方や感情がまた顔に刻まれていく。より良い精神、健康状態で年を重ねていくことによって、素敵な大人、素敵な人間に変わっていけるんじゃないだろうかと思っています。