中国人富裕層に“10年ビザ”要件緩和で消費を期待…心配されるオーバーツーリズム「地元の人を守る対策は必要」専門家指摘【ソレってどうなの?】
FNNプライムオンライン
2024年のキーワードの1つ「インバウンド」。 26日の東京・銀座の映像を見ると、年の瀬も海外からの観光客がたくさんいました。 そんな中、岩屋外相が中国人の観光客向けの新たなビザの要件を緩和すると表明しました。 というわけで、26日は「中国人富裕層に“10年ビザ”どんな影響?」をテーマにお伝えします。 ビザの要件緩和は25日、北京で中国の王毅外相と会談したあとの会合で岩屋外相が表明しました。 団体観光客向けのビザが最長15日から30日に延長。 さらに、富裕層向けに10年間で何度も渡航できるビザが新たに設けられることになります。 中国から来ている観光客に、このニュースについて街で話を聞くと、「いいニュースですね。今回、東京だけの観光ですので、10年ビザになったら大阪や名古屋に行きます」「とてもいいと思います。日中両国の友好交流がしやすくなります。友好関係は観光からですよ。よく日本に来るので次回は必ず10年ビザに切り替えます」などの声が聞かれました。 そんな中、実は中国人向けのビザの要件が緩和される背景にこんな数字があるんです。 2024年、日本を訪れた外国人観光客は11月までに3300万人を超え、コロナ前で最も多かった2019年をすでに上回りました。 一方で、中国人観光客を見ていくと、2023年の2倍以上になっていますが、2019年の数には300万人以上届いていないんです。 ビザの緩和で観光客はさらに増えるのでしょうか、多くの中国人が買い物に訪れるお店に話を聞きました。 フリークマーケット・今野大店長: 上野に来る中国のお客さんが多いから、また増えるのはいいことじゃないですかね。うちの商材だと、好きで来るから、来たときにドバッと(買う)感じ。 政府はビザの要件を緩和することで、中国の富裕層の消費を期待しています。 ただ一方で、街では「経済が活発になるのはいいと思うが、マナー的な話になると『ちょっと…』という心配はある。日本が“中国化”してしまわないかという心配も」と“マナー違反”をする一部の中国人を気にする人も。 では、ビザが10年になるとどんな影響が出るのか、観光事情に詳しい札幌国際大学短期大学部・和田早代教授に聞きました。 札幌国際大学短期大学部・和田早代教授: 今回のビザの緩和によって、さらに(訪日中国人数が)伸びることは期待していい。心配なのはオーバーツーリズム。すでに日本の受け入れ自体に課題が生じている。観光客に対応した料金や税金、地元に住んでいる人を守っていく対策は必要になる。 今、日本各地で深刻化しているのが「オーバーツーリズム」、いわゆる「観光公害」です。 例えば、富士山の見えるコンビニ前で繰り返される危険な横断や人気漫画の舞台になった踏切での撮影などがありました。 解決するには何が重要なのでしょうか。 札幌国際大学短期大学部・和田早代教授: 国や自治体が中心となって、法の整備をする。受け入れるのは結局、一般の企業・ホテルが多い。一つ一つの企業がやりやすいような手厚いサポートが国ぐるみ・自治体で必要。 今回の緩和措置は、中国側が日本人向けの短期ビザの免除を再開したことに応える形となっています。 このあと暮らしにどんな影響が出るのか、期待も心配もある中で、しっかりとした受け入れの準備をお願いしたいところです。