アサヒ飲料がウオーターサーバー事業参入 初のアプリ連動型 将来的に「カルピス」提供も
アサヒ飲料は27日、ウオーターサーバー事業への参入を発表した。スマートフォンのアプリと連動して水を提供する国内初のサーバーを使った実証実験を12月2日から開始し、2026年からの本格展開を目指す。健康や美容意識の高まりから若者を中心に水需要は堅調に拡大している。新サーバーでペットボトル以外の新たな摂水機会を提供するとともに、カルピスといった同社ブランドの濃縮飲料と組み合わせるなど総合飲料メーカーの強みを生かすことで市場開拓を狙う。 ■摂水量をグラフで可視化 導入するサーバー「WATER BASE(ウォーターベース)」は、黒を基調にしたスタイリッシュなデザインが特徴。専用のアプリで会員登録することで利用でき、自身に配布されたQRコードをサーバーが読み取ると給水口が開く仕組みにすることで、清潔さと安全性を保てるようにした。また、水道直結型で水道水をフィルターを通して浄水にして提供するサーバーのため、水の補充が不要で管理費用を抑えられるなどのメリットがある。 利用者は冷水、常温水、さ湯、温水の4種類(実証実験ではさ湯を除く3種類)を、200ミリリットル、300ミリリットル、500ミリリットルの容量で専用ボトルなどに給水できる。その際にアプリと連動して給水量が記録され、1週間分の自身の摂水量がグラフとして可視化されるようになっている。同社の鈴木学Sustainable Drinks推進特任部長は、「自分の摂水量が見えることで、水分摂取のモチベーションを上げる効果がある」と説明する。 ■30年に3000台の設置目標 主要ターゲットは、ミネラルウオーターを愛飲する10~20代の働くZ世代。利用料金は月額定額制で月1000~1500円程度を想定しているが、「実証実験を通じて定額制以外の料金コースも検討する」(鈴木氏)。通常発生するサーバー設置先の使用料金はかからず、サーバーで給水した利用者料金で収益化を図る。 実証実験はエキスパートオフィス大宮(さいたま市)などで、12月2日から25年3月31日まで実施。実験結果を踏まえ、26年には首都圏を中心に100台(契約者数4000人、売上高7200万円)、30年に3000台(契約者数12万人、売上高21億6000万円)の設置を目標に掲げている。
同社のサーバー事業の参入は、ペットボトルなどの容器の製造量や物流量などを低減することで環境や社会課題に対応する狙いもある。さらには、カルピスなどを含む同社ブランドの濃縮飲料をサーバー内に組み込むことで、味や香の付いた清涼飲料水を提供するという新たな体験価値の創出も図る。サーバー事業を通して、さまざまな相乗効果を見込んでおり、「単に水を提供するだけでない世界に到達できると想定している」(鈴木氏)という。