兵庫県“出直し”知事選 きっかけは斎藤元彦氏への告発文書「おごり、慢心があった」反省から再出発
斎藤元彦前知事(47)の失職に伴う兵庫県知事選は17日午後8時、投票が締め切られ、当時に朝日放送、毎日放送が斎藤氏の当確確実を速報した。 【写真】姫路城のレゴブロックの前で…兜をかぶって笑顔の斎藤知事 過去最多の7候補が出馬。選挙戦では、再選を目指す斎藤氏と元尼崎市長の新人稲村和美氏(52)が、激しく競り合う展開が伝えられていた。 斎藤氏への辞職勧告決議につながる県政への疑惑が表面化したのは、今年3月。兵庫県警や報道機関に匿名で送られた、パワハラ、おねだりなど7項目にわたる疑惑告発文書問題だった。 文書を受けて斎藤氏は「事実無根の内容が多々含まれている」「うそ八百を含めて文書を作って流すという行為は公務員失格」などと内容を否定し、元西播磨県民局長の男性を送付主と特定し、停職3カ月の懲戒処分を科した。男性は7月に死亡した。自殺とみられる。 事態を重くみた県議会は、調査特別委員会(百条委員会)の設置を決定した。8~9月に開かれた百条委では、斎藤氏が公務で施設を訪れた際、公用車を降りた後に約20メートル歩かされたことで職員を叱責したという疑いや、職員に付せんを投げた疑いなどについて尋問。斎藤氏は「記憶にない」などと繰り返した。 深夜や休日のチャットで業務を指示していた問題などについても問われたが、「仕事に関しては厳しくしている」などと、自身のスタイルを強調していた。 そうした百条委員会での答弁も、疑いを払しょくするには至らず、9月には斎藤氏への知事不信任決議が県議会で可決された。斎藤氏は会見で、超高級車センチュリーの解約、65歳以上のOB職員の関係先への天下り禁止、県立大学の授業料無償化、海外事務所の規模縮小など、この3年間での改革を次々にアピール。その上で、出直し選挙への出馬を表明した。 県職員から噴出した不満、批判については「県政3年間をやっていく中で心の中におごり、慢心があった。それが言動、そういったことに表れた。こういうことを二度としないということが、心に期するものがある」と認めた。一方で、告発文書を作成した男性を処分したことについては、「繰り返しになりますが問題はなかった」と、これまでの主張を変えることはなかった。