地方ほど「不便だから」で運転継続…“人生100年時代”高齢ドライバーの事情と現状 必要な1人1人の選択
高齢者の免許返納が進まない背景として、「MS&ADインターリスク総研」の調査で、興味深いデータがある。 世代ごとに「自分の運転に自信がある」と答えた人の割合で、一番高い世代は「80歳以上」で、70%を超えていた。
長年運転してきた「経験と感覚」が、自信となっていることがうかがえる。
■免許返納にも「その人にあった選択を」
愛知県大府市は『認知症不安ゼロのまち』を掲げていて、人それぞれの「リスク」を“客観的な視点で理解してもらおう”という取り組みをしている。 大府市は2021年から、医療機関と連携して「運転技能検査」を始めた。検査は、65歳以上の市民を対象に年に21回開かれている。
バーチャル空間で歩行者や信号に気付いたら、コントローラーでブレーキをする。「危険をどれだけ予測できているか」のデータを数値化し、その増減を見ながら免許返納の基準にしているシニアもいるという。 運転技能検査官: 「横断歩道の手前にあるオレンジ色の区間にはいって、手前のところでブレーキボタンを押してくださいね。ちょっと早いですね。もう少し」 男性(78): 「今のところ運転は毎日していて、特に不安は感じないけれど、こういう検査で非常に低下してくれば限界なのかなと。そういう基準にできればいいかなと思いますけど」
国立長寿医療研究センターによると、車の運転をやめた高齢者は、運転を続けている同世代と比べ、要介護状態になる危険性が8倍ほど上昇する、というデータもある。 『人生100年時代』といわれる現代では、「何歳になったら免許は返納」といった一律のルールを作るのではなく、その人に合った選択を促している。
大府市 健康増進課 東村亜美さん: 「安全に運転が継続できる方は、今後も運転を継続してもらうことで、より社会参加につながると思います」
■話し合いを重ねた家族がたどり着いたプラン
愛知県津島市で暮らしている76歳の鈴木さん。運転を続けたい鈴木さんと、免許返納を説得する長女のヨシエさんは、家族会議の結果、「あるプラン」に行きつき、鈴木さんも合意した。 長女・ヨシエさん(50代): 「我が家は“あと2年で車は引退する”っていう、決定しています」 鈴木さん(76): 「名古屋行くときはバス停まで歩いて、バスに乗って行くとか、色々考えています。まだ2年あるから考えます」 長女・ヨシエさん(50代): 「徐々に車がない生活に慣れるように練習というか、生活のリズムで毎日買い物に行っていたのを、計画的に週2回とかでタクシーで行くとか、そんなシミュレーションをしださないとね、なんていう話はしています」 鈴木さん(76): 「老いては子に従え、というでしょう。それだね」
2024年9月20日放送