やわらかいものばかり食べていると口まわりが大変なことに…「食べこぼし」「むせる」見過ごされてきた<サイン>に気づき健康寿命を延ばそう
◆オーラルフレイル対策の重要性 健康寿命とは、介護の必要なく生きられる寿命のこと。日本人の平均寿命は、男性81.47歳、女性87.57歳(21年)。これに対して、健康寿命は男性72.68年、女性75.38年(19年)となっています。 男性は約8年、女性は約12年、介護されながら生きなければならないということになります。 オーラルフレイルという言葉(概念)の提唱者である飯島勝矢先生(東京大学高齢社会総合研究機構教授)たちの研究によると、オーラルフレイルの人は、口腔機能が良好な人に比べて、要介護認定になる率が2.4倍になるという結果が出ています。 また同じ研究では、オーラルフレイルを放置せず、きちんと対策すれば改善することも示されています。 つまり、今からオーラルフレイル対策を始めれば、要介護になることを避けられ、寿命も延ばせるということです。オーラルフレイルの対策がどれだけ重要なのか、おわかりいただけたでしょうか。 飯島先生たちの研究の対象となったのは、平均年齢が73歳で、オーラルフレイルの比率は2割弱でした。 そして早い人では50代から、60代では4人に1人が、前段階である「プレ・オーラルフレイル」に該当するとみています。
◆オーラルフレイルのサインを見逃さない この記事は60代の方も多く読まれていると思いますが、なにかしらオーラルフレイルのサインを感じているかもしれません。サインは固いものが食べられなくなるだけではありません。 例えば、食事のときに、食べこぼすことが多くなるのも、オーラルフレイルのサインの1つです。 気を付けているのに食べこぼしてしまうのは、唇を閉める筋力が低下して、しっかり口を閉じられなくなることが原因の1つです。また舌の運動機能が低下して、思うように動かなくなり、食べものを口の中にとどめられなくなっている場合もあります。 また、食事のときにむせやすくなるのも、典型的なオーラルフレイルのサインの1つです。むせるのは食べものが誤って気管に入らないようにするための防御反応です。 しかし、のどの筋肉が衰えていると、食べものを飲みこむ一連の動作がスムーズに行えなくなり、食べものが気管に入りやすくなってしまうため、むせてしまうのです。 このようなサインに心当たりがあれば、プレ・オーラルフレイルが始まっている可能性があります。
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