植物に癒やされる「ネイチャーブレイク」 ぼーっと眺めてストレス解消
仕事中や勉強中に疲れを感じたら1分間、好きな植物を眺めよう―。そんな「ネイチャーブレイク」と呼ばれる休息方法がある。ストレス軽減や集中力向上に効果があるとされ、今秋、広島都市学園大(広島市)や全国各地の図書館で研究のために一時導入されている。植物の持つ癒やしの力に注目が集まっている。 図書館での勉強中にサボテンを眺めて休憩する学生 兵庫県立大大学院の豊田正博教授(園芸療法)が提唱しているネイチャーブレイク。豊田教授は「人は植物の緑を見ると、脳が覚醒している時に出る後頭部のベータ波が沈まって心が落ち着くんです」と説明する。 ネイチャーブレイクを取り入れるポイントは、(1)自分が気に入った観葉植物や鉢花を机に置く(邪魔にならない大きさが大切)(2)仕事中や勉強中に着席したまま、ぼーっと1分間植物を見る(3)自分で水やりなどの世話をする―の3点だ。 豊田教授らが民間企業の社員63人を対象に実施した研究では、それぞれが高さ15~20センチの植物を仕事机に4週間置いた。疲労を感じた時に植物を眺め、随時水やりも続けてもらった。 その結果、脈拍数が下がり、 心理的ストレスを測る調査でも効果が確認されたという。豊田教授は「ストレスが高まる度にため込まずにクールダウンすることは、ストレスの慢性化による自律神経の不調や免疫力低下を防ぐのに役立つ」と説く。 また、人が植物を自ら選んだり世話をしたりすることで植物への愛着が生まれ、ストレス軽減の持続に役立つ。パソコン画面を長時間見ることで生じる眼精疲労やイライラの解消にもつながるという。 豊田教授らの研究には「全国鉢物類振興プロジェクト協議会」(東京)も注目。現在、全国の12の図書館などで調査を実施している。 10~11月には、園芸療法の研究に取り組む広島都市学園大(広島市)も参加している。付属図書館2館にサボテンやコチョウランなど26種のミニ鉢を用意。館内で勉強する学生に好きな1鉢を選んでもらい、勉強の合間に眺めてもらってリラックスや疲れ軽減の効果を調べている。 サボテンを机に置いていた同大看護学科4年の女性(22)は「国家試験の準備に追われている。時々サボテンを見ているが、かわいくて癒やされる気がする」と目を細めた。 同協議会の会長で、広島市中央卸売市場の荷受会社花満(西区)の和田由里取締役は「緊張を和らげてくれる植物の力を全国調査で一層明らかにし、多くの人に実感してもらいたい」と語る。 <豊田教授のお薦めは> 豊田教授によると、一般的なオフィスの明るさ(照度)は300~500ルクス。生育に必要な光量の目安にしてほしいという。お薦めは、サンセベリアやパキラ、クロトンなど。サボテンや花が咲く植物もOK。卓上でも仕事の邪魔にならない大きさを選ぶといい。冷暖房の風が直接当たらないようにし、たまに窓際に置いて日光浴をさせてあげると生育に良いという。
中国新聞社