両膝の変形で５、６年前から通院する同市川辺の宇都恭子さん（９１）はまず右膝を治療した。「ずっと我慢してきた。痛みが消えてグラウンドゴルフに行くのが楽しみ」。施術後、１時間ほど休んで帰宅した。 　治療費は３割負担で約６万円。導入２カ月で治療実績は７０件を超えた。松岡良典院長（４５）は「慢性的な痛みがなくなることで活動範囲が広がり、よく眠れるなど生活の質が上がる。痛みが強い部位ほど神経は過敏だが、局所麻酔で済み、患者の負担は少ない」と話す。 ■脳腫瘍対応　最新ガンマナイフ（鹿児島市・今村総合病院） 　鹿児島市の今村総合病院は来年２月、脳腫瘍など頭部の病気に対応した定位放射線治療装置「ガンマナイフ」を導入する。開頭手術をせずに、腫瘍など脳病変の治療ができる。 　ガンマナイフ治療は、半球状に配置された約２００のガンマ線を病巣に集中照射する方法。精度が高く、脳の深い部分や複数ある腫瘍を治療でき、治療日数も短い。悪性の腫瘍には早く効果が出る傾向がある。

　導入するのはエレクタ社（東京都）の最新モデル。正確に照射するための頭部の固定は、一人一人の患者の顔に合わせ成形するマスクを使用。頭蓋骨をピンで固定して一度で終わらせる従来の方法に比べ、患者の負担が軽減され、数回に分けた治療もできるという。 　副作用として、一時的に脳が腫れることで手足のまひなどが出る可能性もある。治療費は約５０万円。保険診療で高額療養費制度が適用される。 　１日、鹿児島市で市民公開講座を開き、同病院ガンマナイフセンター準備室の八代一孝室長（６２）が治療内容を紹介。「ガンマナイフ単独や他の手段と組み合わせることで、多くの脳疾患に強力な効果が期待できる」と話した。同病院は機器導入に向けクラウドファンディングも実施している。