イーサリアム現物ETFの承認をめぐる3つの疑問
疑問2:イーサリアムにとっての意味は?
まず第一に、イーサリアム現物ETFがローンチされることは、時価総額第2位の暗号資産であるイーサリアムに対する機関投資家の関心が高まる可能性を意味する。 この動きは一種のお墨付きとして機能するだけでなく、ETFがビットコインに対して行ったのと同じように、確定拠出年金「401k」の分散投資を考えている普通の個人投資家からヘッジファンドまで、誰もがこの資産を購入するための身近なオンランプを得ることになる。 「イーサリアム現物ETFの発表によって、多くの人々が不意を突かれた。ビットコインETFが証券会社や大規模な登録投資顧問向けに暗号資産ETFのロードマップを切り開いたとはいえ、多くの機関投資家関係者は今、イーサリアムの状況について営業チームを教育し、適切なインフラを構築するために奔走していることだろう」とフレームワーク・ベンチャーズ(Framework Ventures)の共同設立者であるマイケル・アンダーソン(Michael Anderson)氏は語った。 また、ETFは原資産へのエクスポージャーを得るための手段に過ぎないが、実際にイーサリアム自体のユーザーを増やす可能性もある。 1つのシナリオとしては、SECがファンドマネジャー(資産運用会社)にイーサリアムのステーキングを許可しない可能性が高いため、新たなイーサリアム投資家は追加利回りを得るために、自分自身でステーキングを行いたいと判断する可能性がある。 関連して、暗号資産ベンチャーキャピタルのヴァリアント・ファンド(Variant Fund)の最高法務責任者であるジェイク・チャービンスキー(Jake Chervinsky)氏がXで述べたように、現物ETFの承認は、イーサリアムが証券に当たるのかという長年の疑問に対する答えとなりそうだ。 チャービンスキー氏によると、もし現物ETFの取引が許可されれば、特にステーキングされていないETHは、SECでは証券とは見なされていないことになる。規制が不透明なため、現在多くの機関投資家が取引を控えていることを考えると、このこと自体が多くの機関投資家を市場に参入させる可能性がある。 より技術的なレベルでは、イーサリアム現物ETFがビットコイン現物ETFと同じくらいの人気を博すると仮定すると、現物ETFがビットコインと同じくらい膨大な量のイーサリアムを買い占める世界は、イーサリアムにとってどのような意味を持つのか、多くの疑問が残っている。買い圧力はネットワークと周辺のレイヤー2にとって、大きなものになるだろう。 イーサリアムは、取引のたびにトークンを破壊するバーン(焼却)メカニズムを導入し、長い間、イーサリアムをデフレ的資産にしてきた。しかし、ソラナ(Solana)のような代替チェーンの人気が高まるにつれて、イーサリアムの取引高はその供給量が再び増加するほど低下しており、これは資産の価格と需要に長期的な影響を及ぼしている。ETFは、イーサリアムの経済性を支える一助となる可能性がある。 最後に、ETFがステーキングエコノミーにどのような影響を与えるか興味深い。リド(Lido)のようなアプリケーションを使えば、少量の暗号資産でも簡単にステーキングできるため、ステーキング量に警鐘を鳴らす人もいる。ETFによってさらに多くのイーサリアムが流通から引き上げられる可能性があるため、こうした懸念はさらに大きくなるかもしれない。